正遊撃手争いの本命か? 4月1日の開幕カード第2戦、オルランド・カリステ内野手がスタメン・ショートに抜てきされた。
「キューバ代表としてWBC大会に参加したジャリエル・ロドリゲス投手が音信不通となり、再来日していません。米メディアは『第三国を通じてアメリカに亡命しようとしている』と伝えていました。そのロドリゲスがいなくなり、一軍出場のチャンスを掴んだのが、カリステです」(スポーツ紙記者)
一軍登録できる外国人選手は5人まで(試合出場は4人)。当初、ロドリゲスとマルティネスの2投手は一軍確定で、ビシエド、アキーノ、アルモンテ、カリステの4人で『残り3枠』を争うと見られていた。打撃力で「ビシエド、アキーノ、アルモンテ」の当確を予想する声が圧倒的だったが、第2戦でスタメン出場のチャンスをもらったカリステが「守備」で存在感を発揮した。
「同試合で記録された『遊ゴロ』は2つ。でも、捕球の柔らかさ、送球までの機敏な動作、一塁送球のスピードとコントロール。どれをとっても一級品でした」(プロ野球解説者)
カリステは立浪和義監督がドミニカ共和国のウインターリーグを視察して獲得が決まった。入団会見では「投手と捕手以外、どこでも守れます」と“便利屋ぶり”をアピールしていたが、実は同ウインターリーグの三塁手部門でゴールデングラブ賞に選ばれた「守備の達人」だったのだ。
沖縄県北谷町での春季キャンプを見た中日OBが言う。
「打撃力はいまひとつでしたが、守備練習では群を抜いていました。外国人選手特有の長いストライドで打球を追い、サイドスローで一塁へストライク送球をしていました。逆シングルでの捕球も巧いし、ノーステップで一塁へ送球していました」
便利屋ではなく、「守備でカネの稼げる選手」になるかもしれない。
キャンプ中から、カリステは立浪監督の指示によりショートでノックを受けてきた。23シーズンの中日二遊間といえば、新人の村松開人、田中幹也、福永裕基が注目され、全くのノーマークだったわけだが、「守備力ならカリステ」の構想もあったのだろう。
「お守りだと言って、黒豹のペンダントを着けています。夫人からの誕生日プレゼントで、幸運をもたらすラッキーアイテムなんだと話していました」(チーム関係者)
村松、田中の両新人は故障、期待の龍空は打球を下がって捕る悪癖が露呈。そして、今回のロドリゲスの一件…。打撃面はともかく、“黒豹のご利益”はホンモノのようだ。
(飯山満/スポーツライター)