「飽和」「値崩れ」でもアイリスオーヤマ「マスク生産」に注目が集まるワケ

 生活用品を企画・販売する「アイリスオーヤマ」は5月20日、マスクの国内生産に向けて宮城県の角田工場に生産設備を搬入したと発表し、ネット上では期待の声が集まっている。

 同社によれば、角田工場には約30億円の設備投資をしており、新たに100人を雇用、7月には月産1億5000万枚を目指すという。

 アイリスオーヤマはこれまでも、中国の大連工場や蘇州工場で月8000万枚のマスクを製造していたが、現地の資材価格が高騰しているため日本国内での製造を決めたといい、同社の大山晃弘社長は「安心して使える製品を届けたい」と語った。

 ただ、マスクは長く品薄の状態が続いていたが、4月末頃から東京の新大久保や埼玉の西川口などの路上でマスクが大量に販売されているとの目撃情報が相次ぎ、5月に入ると3500円で売られていた50枚入りマスクが2000円前後まで値崩れを起こしている。現在では気軽にマスクが買える状況となりつつあるが、なぜアイリスオーヤマの国産マスクに期待が寄せられているのだろうか。

「今、国内で大量に流通しているのは路上や雑貨店などで販売された中国産の輸入マスクで、国産マスクは相変わらず不足しており、ドラッグストアやスーパーでも売り切れ状態が続いています。しかも、中国産マスクの中には品質に疑問を持たざるを得ないものもあり、そうしたイメージから値崩れを起こしている状況。そこで、アイリスオーヤマが中国工場から機材を運搬して国内でマスクを生産すると発表したことに注目が集まっているわけです」(経済ジャーナリスト)

 国産マスクといえば、シャープも三重工場で生産を急いでいるが、購入にはいまだ当選率1%未満という凄まじい人気ぶり。アイリスオーヤマも加わることにより、安定した供給を期待したいところだ。

(小林洋三)

※写真はイメージです

ビジネス