立浪竜も心配している? WBCキューバ代表の「投手人材難」

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下=WBC)の1次リーグA組がひと足早く、開幕した。その開幕カードであるオランダ対キューバ戦(台湾・台中インターコンチネンタル球場)は、今季のセ・リーグペナントレースにも影響を与えそうだ。

「A組から準々決勝に進むと予想されるのは、オランダとキューバ。両代表チームが順調に勝ち上がれば、日本は準々決勝で対戦することになります」(スポーツ紙記者)

 当然、侍ジャパンの関係者も台湾入りしているが、気になるのはキューバの投手起用。“開幕投手”を務めたのは、中日のジャリエル・ロドリゲス投手だった。

 ロドリゲスといえば、昨季リリーフに転向し、「最優秀中継ぎ投手」のタイトルを阪神・湯浅京己と分け合ったタフネス右腕だ。

「中日ではセットアッパー、代表では先発」という使い分けだが、中日サイドからはこんな声も聞かれた。

「中日の先発陣は実力派揃いです。その反面、リリーフ陣に一抹の不安が残ります。祖父江大輔の調子が上がってこないし、昨季54試合に投げた清水達也に疲れが残っていないかどうか…。案外、ロドリゲスがキーマンになるかもしれません」(球界関係者)

 ペナントレースと異なるWBCでの起用法を、中日サイドは快く思っていないのではないか。

「先発とリリーフでは調整方法が異なります。少し乱暴なたとえですが、長いイニングを投げる先発投手は長距離、1イニングで降板するリリーフは短距離走みたいな感じ」(同前)

 中日側から「先発で使うな」とは言えない。しかしロドリゲスは元々、先発投手だった。2019年のプレミア12大会でもやはり、キューバ代表で先発を任されていて、それをたまたま視察していた与田剛監督(当時)の目に留まり獲得が決まった。その後、先発投手として起用されたが、結果はイマイチ。立浪和義監督のリリーフ転向案によって、持ち前の攻撃的なピッチングが活かされたわけだ。

「ロドリゲス自身は先発でやっていきたいと思っているようです。むしろ、先発として登板できる今大会をチャンスと捉えています」(現地記者)

 ロドリゲスは4回を投げ、3安打1失点。奪三振「6」を記録したが、その後、味方救援陣がオランダ打線につかまって、黒星スタートとなった。

 キューバ全体のレベルダウンも指摘されているが、ロドリゲスがこの一戦で救援投手の重要さを認識してくれたなら、立浪監督は継投策で悩まなくても済むのだが…。

(飯山満/スポーツライター)

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