侍ジャパンの新監督は、井端弘和氏で決まりそうだ。関係者によれば、井端氏が監督を務めるU-12大会後、「侍ジャパン強化委員会から連絡を受けた」とされ、その流れから「井端ジャパン」の誕生を予感する声が出始めた。
「井端氏が監督を務めたU-12大会ですが、今夏は4位でした。メダル獲得が果たせなかったのは残念ですが、小学生に教えるのがいちばん難しいとされています。それがしっかりできていて、代表チームにおける貢献度も大きい人です」(球界関係者)
選手としての井端は、13年WBCの東京ラウンドでMVPにも選ばれた。17年のアジアプロ野球チャンピオンシップではコーチ入閣し、現在は解説者、U-12代表監督のほか、社会人NTT東日本のコーチも務めている。
「東京五輪では、編成担当としてチームを陰ながら支えてくれました。とくに、代表候補に挙がった選手を所属球団に伝えるタイミング、各選手のコンディションなどを把握することに尽力してくれました」(前出・同)
12球団との良好な関係作りに力を入れた理由は、自身の苦い経験があるからだという。
「05年の第2回WBC大会ですよ。中日選手が揃って代表入りを辞退しました。中日球団がペナントレースを優先させたためで、選手に強要したのではありません。前年の北京五輪で、一部選手を疲弊させる起用法に選手内から疑問の声が出ていたんです。選手個人が断ったら批判を招くかもしれないということで、球団がまとめて辞退を伝えました」(ベテラン記者)
当時の中日指揮官は落合博満氏。WBCを楽しみにしているファンから誤解も受けたが、落合氏と中日球団はあえて反論しなかった。
「井端氏が代表監督に就くのなら、同じくU-12チームで投手コーチを務めた吉見一起氏もそのまま昇格するものと思われます」(前出・同)
吉見氏も各チームとの良好な関係構築に気を配ってきた。
新代表チームで中日OBが要職を務めることは「05年当時の誤解」を解くことにもつながるだろう。肝心なドラゴンズのほうはいつ再建されるのか皆目見えないが…。
(飯山満/スポーツライター)