少し気が早いが今年も夏がやってくる。仕事の後のビールが特においしい季節、いや、エアコンの季節だ。ただし、この春から電気代の大幅な値上げが認可されそうだ。そこで今週は、エアコンの電気代対策をお話ししたい。
まずは「古いエアコンは買い換えれば電気代が安くなる」ということに関してだ。もちろん20年以上前のエアコンを使っているなら、今の省エネタイプのエアコンにすれば、効率がよくなって電気代は下がる。
ただし、10年くらい前に買った場合は気をつけたほうがいい。すでに当時、省エネタイプのエアコンが主流になっていて、今の省エネエアコンに買い替えても6畳タイプでは、ざっくり800円くらいしか電気代が安くならない。1カ月ではない。年800円。夏と冬に4カ月ずつ使ったとして、1カ月で100円くらいしか安くならないのだ。
ちなみに15年くらい前のエアコンになると、6畳から8畳タイプで年に3500円から4000円くらい安くなるだけと言われる。
それどころか、かつてはよくあった激安エアコンが市場からほぼ姿を消している。省エネタイプでも、シーズンの初めには6畳タイプで5万〜6万円(取り付け工事費込み)の商品が山ほど売れていた。しかし、コロナの巣ごもり需要で在庫がはけた後、ほとんど見かけなくなってしまった。
そこで電気代を安くするためにまず考えてもらいたいことは「契約する電力会社を変更する」ことだ。大手の電力会社から新電力会社に切り替えた人は、22年3月の時点で約21%にすぎない。ほとんどの人が切り替えていないのが実際のところ。地域によって契約できる会社は異なるが、ネットなどでどんな電力会社のどんな契約があるか調べてほしい。
新しい電力会社に契約を切り替えると、何らかの工事が入るのかというとそんなことはない。新電力会社だけ停電するなんてこともない。電線は大手電力会社のものを使っているし、メーターもほぼそのまま。請求書が別の会社から来るというだけだ。
キャンペーンのタイミングにうまく出会うと、2カ月無料ということもあり家計に優しい。私の場合はもう3社目で、キャンペーンを上手に渡り歩いて電気代を浮かしている。ざっくり5%から10%くらいは安くなっているはずだ。
電気代の請求書があれば、電話やネットなど10分程度で簡単に契約できる。これを本格的なシーズン前に検討してほしいのだ。ただし、新会社の契約には縛りがあるケースもあり、場合によっては高くなることもあるから注意しよう。
また、いくら新しい省エネエアコンでもフィルターや本体内が汚れていては効率が落ちる。だから私は、シーズン前にフィルターを掃除し、本体内部はドラッグストアでエアコンスプレーを買って来て、1台1本でいいところを2本使って綿密に掃除している。業者に頼むと楽だが、1台1万円くらいはかかる。エアコンスプレーなら2本で1000円もしない。経済的だ。
他に賢くエアコンを使う方法としてよく言われることを5つあげておこう。
〈1〉エアコンをつける時には扇風機も回す。体感温度が2度ほど違う。
〈2〉室外機に直射日光が当たらない工夫をする。
〈3〉エアコンの消費電力は使い始めから室温が安定する15分くらいが非常に高い。買い物などで15分くらい部屋にいないだけなら、つけっ放しのほうがおトク。
〈4〉熱気は窓を通して入ってくる。二重サッシは無理でも、厚手のカーテンで冷気を守る。
〈5〉煮炊きなどは早朝のエアコンをつける前に。冷房をかけながらガスやアイロンは使わない。
最後に岸田首相にお願いしたい。家庭用の電気代とガス代、水道代の消費税10%は考え直しませんか。せめて食品と同じ8%にしてほしいです。アサ芸の読者の多くも賛成してくれるはずです。では、また来週。
佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活動中。著書「おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方」(ぱる出版)ほか多数。