気球の次は「キラー衛星」!中国VS米国「宇宙空間の軍事バトル」が一触即発だ

 米国防総省は2月22日、米軍機が4日に大西洋上空で撃墜した中国の「偵察気球」を、上方から撮影した写真を初めて公開した。

 撮影日は撃墜する1日前の3日。高高度偵察機U-2に搭乗したパイロットにより撮影されたものだが、気球には情報偵察用と見られるアンテナがはっきりと映っており、情報収集センサー稼動に必要な電力生産ができるソーラーパネルも搭載。結果、米政府はこの気球が、中国が主張する「気象観測用民間飛行船」などではなく、偵察用気球だとの結論を下したようだ。

 そんな中、米国内の多くの専門家たちが「気球問題より危ない」と懸念するのが、中国による「キラー衛星」からの攻撃だという。

「キラー衛星とは、その名の通り、宇宙空間においてターゲットの衛星を攻撃する軍事衛星のこと。手口は、標的となる衛星に接近、ロボットアームで捕獲したり、電磁波を照射したりして機能を喪失させ、破壊してしまうという代物です。中国では、2010年以降、キラー衛星によるレーザーや高周波、電磁波のジャマー(通信妨害装置)を使った攻撃の実験が繰り返し行われているようです。米国ではすでに何年も、このキラー衛星の発見と対策に努めていると伝えられています」(全国紙記者)

 では、キラー衛星がアメリカの衛星を狙う理由は何なのか。

「衛星は、今や戦争の道具として欠かせないものとなっています。湾岸戦争やイラク戦争で敵の目標物をピンポイントで攻撃できたのは衛星の『目』があったからこそ。衛星がなければアメリカの軍事力は半減するとも言われています。そこに気付いた中国は、衛星こそが軍事的脅威であり、これを排除することは地上の軍事力を強化するよりも効果的だと考えたとされます。キラー衛星の存在は、いわば、いつでも衛星を攻撃して無力化できるぞ、と米国ののど元にあいくちを突きつけているようなものです」(前出・全国紙記者)

 それだけではない。米国の専門家によれば、中国は、NASAや関連研究所などにサイバー攻撃を仕掛けて潜入し、多くの機密情報を盗み出している可能性があるという。

「NASAでは、2008年〜2011年の3年間で5000件以上のサイバー攻撃を受けたと発表していますが、そのうち、08年10月のケースは、NASAの衛星のコントロールが9分間に渡ってハッカーに乗っ取られました。これも中国による攻撃だとほぼ断定されています」(前出・全国紙記者)

 戦争の舞台は、とうの昔に地上から宇宙空間へと移っている。我々のはるか上空での覇権争いは、まさに熾烈を極めているのだ。

(灯倫太郎)

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