岸田首相と“懇談”尹大統領の低姿勢に韓国から苦言「一方的求愛」「卑屈外交」

 日本では「懇談」で、韓国では略式ながらの「首脳会談」と、日韓両政府の説明は異なった。日本時間の22日未明に国連で首脳級一般討論演説が行われるに際して、ニューヨークを訪れていた岸田首相と韓国の尹錫悦大統領が顔を合わせての対話が実現したことを、どう位置付けるかで評価に差が出た。

「松野博一官房長官も22日の会見で記者からの質問を受けて両者の違いについて説明していますが、特に違いについての定義もないので、あまり明確な説明ではありませんでした。背景には、徴用工問題で具体的な解決策を示しきれない韓国を日本は袖にして、日本との関係を改善して輸出規制を解いてほしい韓国は日本に歩み寄る。その姿勢の温度差が今回の対話をどう呼ぶかで分かれたということです」(全国紙記者)

 だから当然、日本のマスコミの扱いは大きくない。むしろ朝日新聞は対話の様子を「(尹大統領は)少しでも時間を長くしようとしていた」と、これも冷笑的。すると韓国国内では野党から「一方的求愛」「卑屈な姿」「屈辱外交」といった批判の声が上がっている。

「尹大統領は就任100日を受けた8月17日の会見で、韓日関係改善を公約として約束しました。実際、一方的と言われても仕方ないくらいの秋波を日本に送り続けています。ところが、そのことで逆に日本政府の反発を買うこともありました。9月15日に大統領のイギリス、アメリカ、カナダの歴訪スケジュールの説明があったのですが、その中で韓国政府はきちんとした合意がないまま、岸田首相との『会見を調整中』と説明。それで韓国では新聞の一面を飾ったのですが、完全なフライング。岸田首相が『それなら逆に会わねえぞ』と言ったという報道も出たほどで、日本側は『何も決まっていない』と火消しに回るほどでした」(同)

 尹政権は直近の世論調査で支持率30%割れと、相変わらずの低支持率ぶり。だから日本との外交継続は死守したいところ。ところが日本の方も、岸田政権の支持率が急速に低下中。とりわけ安倍元首相の国葬と旧統一教会問題は、韓国側に強気の外交を求める保守層が深くかかわる問題でもあるので、こちらの“調整”に岸田政権は必死な状況と、会談を行うにはタイミングも悪かった。

 さらに、岸田首相はアメリカのバイデン大統領と10分間立ち話をしたのに、尹大統領がバイデン大統領と言葉を交わしたのはわずか48秒。加えてそこから立ち去る際に、アメリカ議会のことを「この野郎ども」呼ばわりしたところをテレビカメラに収められ‥‥と、今回の国連総会は散々な結果に終わったのだった。

(猫間滋)

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