「マイ・ブルペン」の効果か? WBC大会で大谷翔平選手をはじめとする日本人メジャーリーガーたちの動向に耳目が集まるなか、“蚊帳の外”状態なのが、ブルージェイズの菊池雄星投手だ。
「先発ローテーションの5番手争いをしています。ライバルであるミッチ・ホワイトが右肩を負傷し、『菊池当確』と地元メディアは伝えていました」(在米ライター)
運が良かっただけではない。ブルージェイズのスプリングキャンプを中継するトロントの地元放送局スポーツネット・カナダは、こう伝えていたという。
「投球フォームが少し変わった。腕の振りなどが小さくなった」
菊池は制球力アップのため、オフの間、投球フォームの修正を続けてきたのだ。
同局が伝えたところによれば、菊池はアリゾナ州の自宅に「マイ・ブルペン」を設置。超ハイスピードカメラや、回転数や回転軸などを計測する「ラプソード」も自腹で購入し、試行錯誤を続けてきたそうだ。そこでたどり着いたのが、右手のグローブを捕手側にスッと出す新フォームで、投球動作そのものが小さくなった。
菊池自身も新・投球フォームに手応えを感じているそうだ。
「他の日本人メジャーリーガーはWBCに出るのかどうかでメディアに追い掛けられていましたが、菊池は『素通り』でした。悔しい思いもしていたはず」(現地記者)
昨季はジェットコースターのようなシーズンだった。前半戦は好調だったが、首周辺の痛みを訴えて離脱。その後は思うような投球ができず、8月半ばからはリリーフに配置換えされてしまった。
「そのとき、菊池と入れ替わって先発ローテーション入りしたのが、ホワイトでした。ホワイトは菊池がリリーフに降格したのとほぼ同時期にドジャースからトレードでやってきたんです。今キャンプで『ホワイト以上の成績』を残せなければ、菊池は先発に戻れなかったでしょう」(前出・在米ライター)
5番手争いということは、先発枠の最後の一席を競っていたわけだ。ホワイトの故障も長引くものではないと伝えられており、「5番手」とはシーズンを通しての先発起用が保障されたポジションではない。
オープン戦で結果を積み上げていくしかないが、「マイ・ブルペン」を自宅に造った甲斐はあったようだ。
(飯山満/スポーツライター)