鈴木宗男「私が『ロシアけしからん』と言えばすべて終わってしまう」/テリー伊藤対談(4)

テリー それにしても宗男さんは相変わらず元気だね。

鈴木 いや、テリーさんに比べたら元気ないです。もう私も75歳です。後期高齢者ですからね。

テリー いや、そんなことないですよ。声もすごく大きいし。

鈴木 やっぱり体調管理は自分の責任ですから。そういった意味では週2、3回走ったり、筋トレもやってます。女房も食べる物から食事の量まで気にしてくれてますからね。今でも45年前の背広を着られるぐらいの体型です。

テリー それは偉いな。パワーの秘訣は何なんですか。

鈴木 やる気です。やっぱり国民から選ばれて国会議員をやっている以上、人の倍働かんといかんと思います。ただ、何もしないでノホホンと暮らしても私はいいんですよ。しかし、それなら政治家を辞めたほうがいいと思ってます。

テリー お嬢さん(鈴木貴子)も衆議院議員ですよね。

鈴木 おかげさまで衆議院議員として、まだ37歳、頑張っています。

テリー 優秀だなぁ。

鈴木 当選4回にまでなってますからね。まだこれから30年ぐらい頑張ってもらいたいと思いますけど。

テリー 家でお嬢さんと政治の話はするんですか。

鈴木 毎日してます。

テリー 宗男さんと同じ考え方?

鈴木 違いますね。

テリー 例えば、今回のウクライナについてはどう思ってるんですか。

鈴木 昨年、娘は外務副大臣なんですよ。ですからウクライナの問題に限らず、日本政府の方針で言わんといけないんですね。

テリー じゃあ、家で激論になるじゃないですか。

鈴木 いやいや、娘からは「余計なことは言わないように」と言われます。ただ娘も日本の世論、あるいはメディアの情報がアメリカ一辺倒なところは良しとはしてません。

テリー 確かにね。よく「ウクライナが反攻に出た」って言うでしょう。でも、あれってほんとに反攻に出てるのかなっていう。あれも昔の大本営発表と変わらないのかなと。あと、ウクライナもロシアも実際にどれぐらいの方が亡くなってるのか、お互いにわからないですよね。僕はそれが心配なんですよ。

鈴木 今はほんとに作られた情報で、みんな右往左往してるんですよ。これが危険なんです。ちょっとした間違った情報で大戦争になってしまう可能性だってあるんですから、私はそれを心配してるんです。

テリー そうですよね。

鈴木 テリーさんね、「鈴木宗男はロシアのポチだ」「プーチンのポチだ」なんて言われますけれどもね、私は北方領土問題がなければ、別な解釈をします。ロシアと平和条約が結ばれていれば、また別な判断もあります。ただ、北方領土問題だけは日本の国益の観点からも解決しなければいけないんですよ。特に元島民はですね、平均年齢が87.2歳です。

テリー そうかぁ。

鈴木 しかも1万7291人が引き揚げてきて、今生きてる人は5332人です。3分の2が亡くなってるんですよ。私はその元島民といちばん接触する者として、「ロシアけしからん」「ロシアとんでもない」と言ったら、すべて終わっちゃうんです。だから、日本の国益の観点からも私は公平に判断してると。こういうことなんですよ。

〈テリーからひと言〉

 宗男さんとの話はいつまでも尽きないな。年なんかに負けず、今度は朝まで激論を戦わせましょう。

鈴木宗男(すずき・むねお)1948年、北海道生まれ。大学在学中から中川一郎議員の秘書を務め、1983年の衆院選で初当選。第2次橋本内閣で北海道・沖縄開発庁長官、小渕内閣で内閣官房副長官など。2005年、新党大地を結成、同代表に就任。2019年、日本維新の会入党。同年、参院選の比例代表で当選し、約9年ぶりに国政に復帰。現在は参議院懲罰委員長、政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員などを務める。

*週刊アサヒ芸能3月2日号掲載

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