マリナーズからフリーエージェントとなっていた菊池雄星投手のブルージェイズ移籍が決定した(3月12日/現地時間)。新・労使協定の締結により、ロックアウトが解除されて、わずか2日目でのスピード合意だった。
「メジャーリーグ公式サイトによれば、菊池は『3年総額3600万ドル』(約42億2300万円)の大型契約を勝ち取りました。マリナーズに残留していたら、1年1300万ドル(約15億円)だったので、好条件で迎えられたといえます」(在米ライター)
交渉解禁日でもあった前日、米FA市場の目玉でもあったカルロス・ロドンのSFジャイアンツ入りが決まり、先発完投型の左腕は少なくなり、「菊池の評価が急上昇した」(同)との声も聞かれた。
菊池の2021年の成績は、7勝9敗。7勝はMLBでのキャリアハイではあるが、「他投手の動向で評価が変わった」と言われるのは、不本意なはず。しかし、今回の移籍はこれまでの評価を一変させるチャンスにもなりそうだ。
「21年は、前半戦と後半戦でまるで別人。後半戦では1勝しか挙げられませんでしたが、シーズンを通して見てみると、先発した29試合中15試合がポストシーズン進出の強豪チーム相手でした。もっと好意的に見てもいいのではという報道もありました」(現地記者)
マリナーズ残留のオプションを蹴った昨年末、米スポーツサイト・FANSIDED(電子版)が〈菊池はもっとやれる。注目すべきは、東部地区のチームとの対戦成績だ〉と、過去3年間のデータを紹介していた。
レイズに対して、通算2勝負けなし、防御率1.38。同じく、ブルージェイズに対しても、防御率1.77の好成績を残している。また、菊池獲得を目指したヤンキース相手にも同メディアは〈ヤンキースタジアムでは、12回3分の2を投げ、防御率0.71。打たれないことが証明されている〉と伝えていた。
つまり、菊池は東部地区のチームに強い傾向があり、ブルージェイズにとっては「苦手投手を味方に変えた」ことになるわけだ。
「ブルージェイズは打線も強力。大谷を制して本塁打王になったゲレーロJr、好打者のスプリンガーなどがいます。打線の援護も期待できそう」(同)
あと12勝で、日米通算100勝となる。新天地でデータ通りの活躍ができれば、投手タイトルも夢ではない。
(スポーツライター・飯山満)