メジャーリーグの新・労使協定は2月17日(現地時間)6回目となる交渉がもたれたが、15分程度で決裂。この悪影響は間違いなく、日本プロ野球界にも及んでくる。
「MLB機構と選手会の6回目が行われましたが、すぐに決裂となりました。選手会側が自分たちの要望内容を譲歩する形で対案を出したのですが…」(在米ライター)
選手会はこれまで主張していた「スーパー2」(登録日数2年以上、3年未満の選手に付与される年俸調停権)の要求を“全員”から“8割”に引き下げ、その代わりに年俸調停権取得前の選手に支払う「ボーナスプール」の額を値上げしてほしいと打診。しかし、結果は先に述べた通り「たった15分での決裂」だから、さらに亀裂が広がったと見るべきだろう。
「デッドラインとされる2月末までに合意できなければ、球団業務が停止している現在のロックアウト状態は、3月中頃まで続くでしょう。米国の各メディアは3月31日の開幕戦は予定通りに行うことはできないだろうと伝えています」(同)
米球界移籍を目指す鈴木誠也の交渉遅延はもちろんだが、去就の決まっていない菊池雄星は“フリー”ということになる。
「菊池には、中途半端な移籍交渉をして後悔するよりも、今季だけは帰国して…という声もありますね」(NPB関係者)
しかし、それだけでは済まないようだ。
「メジャーリーグのロブ・マンフレッドコミッショナーですよ。今や、『史上最低のコミッショナー』と非難されています」(前出・在米ライター)
マンフレッドコミッショナーはWBC大会成功の立役者。当然、NPBにとっても重要な人物だ。とはいえ、次回WBC大会は来年3月。こんな状況で本当に開催できるのか、あやしくなってきた。開催ナシなら新生・栗山ジャパンは大ダメージだ。
マンフレッドコミッショナーは、6回目の労使交渉前の2月10日に会見を開き、「キャンプ、開幕戦ともに予定通りに!」とコメントしていた。本来ならば、バッテリー組のキャンプ・スタートは16日だ。“あと1週間”を切ったこの時点で、「どうしたら、こんな強気なことを言えるんだ!?」と、米国中の野球ファンが憤怒したという。
「失礼ながら、晩節を汚してしまったようです。ストライキ状態に陥った95年、その終息に尽力したのが、当時、オーナー側のアドバイザー的立場にいたマンフレッド氏でした。その功績を認められて、コミッショナーにも選ばれたんですが…」(現地関係者)
その任期は2024年まで。だが、全うできないかもしれない。NPBも他人事ではなくなってきた。
(スポーツライター・飯山満)