東京〜高松、出雲市を結び、国内で定期運行する唯一の寝台列車として知られる「サンライズ瀬戸・出雲」。週末や繁忙期はほぼ満席の人気列車として知られているが、車両は運行が始まった98年から使用されている「285系」が今も走っている。すでに25年を迎え、通常なら新型車両が投入されてもおかしくない。
だが、未だにそういった話は聞かない。このことは以前から鉄道業界で疑問視されている。その原因として複数の理由が考えられる。
「ドル箱列車とはいえ、寝台列車なので定員数は少なく収益性に優れているわけでもありません。それにこの区間なら飛行機のほうが便利ですし、同じJRでも新幹線+在来線という代替交通手段が用意されている。その時点で新型車両投入の優先度は低くなります」(鉄道ジャーナリスト)
また、寝台車は通常の車両より製造コストが高い。しかも、サンライズは瀬戸・出雲で1編成各7両ずつの計14両。現在の3編成分を新型車両にした場合の製造費は推定150億円とも言われている。とりあえず1編成分としても簡単に出せる金額ではない。さらにコロナ禍で業績が悪化したことも開発を後ろ向きにさせる大きな要因になっているという。
「そもそもサンライズは、東日本・東海・西日本・四国のJRグループ4社で共同運行しており、現行車両は2編成をJR西日本、1編成をJR東海が所有しています。もし新型車両を開発するとなれば、所有権や製造費用の負担をめぐって揉める可能性があり、また、現在の在来線の車両や運転台の仕様もJR西日本と他社では少し異なり、そのすり合わせをどうするかなどの問題も出てきます」(前出・ジャーナリスト)
JR在来線の車両の平均寿命は30〜40年。車両の老朽化が進んでいる以上、残された時間はそれほどない。鉄道ファンのためにも新型車両をぜひ投入してほしいところだが…。