“メジャー奨励派”石井GMが則本を「生涯楽天」に慰留した理由

 地位が変われば、考え方や発言も変わるというわけか…。

 東北楽天ゴールデンイーグルスの石井一久GMによるエース・則本昂大の慰留成功が伝えられたのは、7月5日に遡る。7年の長期契約だ。年俸総額は未発表だが「数十億円」とのこと。
 
 驚いたのは、契約期間の長さだ。則本はメジャー挑戦の意向を口にしていた。7年の長期契約を交わしたとなれば、28歳の則本にとって楽天で現役生活を終える可能性もある。
 
「今季で3年の複数年契約が終了となります。来季からの7年契約によって、メジャー志望の発言は撤回されたことになります。球団は3月途中から則本と交渉していましたが、最終的な説得にあたったのは石井GMです」(スポーツ紙記者)

 これまでの石井氏の発言を知る人は、とくにヤクルト、西武の関係者は、同GMの慰留説得の情報に驚いていた。
 
「石井GMはどちらかというと、選手の移籍に関しては肯定的でした。その考えを聞かせて、18−19年オフ、西武からFA宣言した浅村を引き抜いたのですから」(関係者)

 また、メジャーリーグへの挑戦に関しても、後輩たちの背中を押していたという。その一例がアンダースローの牧田和久だった。石井GMはメジャー挑戦の経験者として、牧田が抱いていた不安にも親身になってこたえていたそうだ。

「石井GMは西武で現役生活を終えましたが、若手投手からの人望が厚く、その流れで牧田の相談にも乗っていました。アンダースローの稀少価値、現地生活のこと、アメリカで支払う税金のシステムなど事細かなアドバイスを送っていました」(同前)

 牧田の背中を押し、浅村に移籍する利点を説いた石井GMが、則本に対しては正反対の説得をしたわけだ。これも「地位、立場が変われば」ということかもしれない。

 石井GMのチーム編成に関連して、こんな情報も聞かれた。

「巨人入りした岩隈久志ですが、マリナーズを解雇された直後は楽天帰還が有力視されていました。岩隈はオフの間、楽天の施設を使って練習しており、現楽天選手とも交流が深かった。その岩隈をあえて引き止めなかったということ、その岩隈がまだ一軍戦力になっていないことを考えると、ドライな判断ができる人なのかもしれませんね」(ベテラン記者)

 ひょっとしたら、則本も厳しいことを言われたのだろうか。楽天がまとめたシーズン途中のトレードも 同GMの主導によるもの。相手球団は甘く見たら、痛い目に遭うかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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