終盤戦の過密スケジュールが影響しそうだ。
9月5日と6日、本拠地・楽天モバイルパーク宮城で行われるはずだった日本ハム戦が雨天中止となった。これにより「16日から25日までの10連戦」という過密スケジュールが決定した。
石井一久監督は「一戦一戦を戦っていくだけです」と記者団に答えたが、この10連戦以上に頭の痛い事態も抱えていた。
「松井裕樹と鈴木大地が海外フリーエージェント権を取得しました。鈴木は国内FA権を行使して楽天に移籍してきたので移籍を視野に入れているとは考えにくい。松井は今季、4年の複数年契約が終わります。この時期、FA取得選手との下交渉情報がまったく聞こえてこないのは、ちょっとおかしい」(ベテラン記者)
去就問題に関して、鈴木、松井ともに沈黙を守ったまま。一生の問題であり、当然と言えば当然なのだが、松井は昨年オフの時点で「23年のFA市場の目玉」と囁かれていた。ドラフト1位選手であり、今季、200セーブにも到達している。
「オフに28歳になります。若さも魅力です」(前出・ベテラン記者)
クローザーが固定されているチームでも「松井なら欲しい!」と思うだろう。さらには、こんな事情もある。
「20年、石井監督は松井を先発に転向させようとしました。則本昂大、涌井秀章(当時)、岸孝之らの高齢化を見越してのコンバート案でしたが、松井自身にも『将来は先発』の希望があったんです。絶対的なクローザーを持つチームが『先発挑戦』を交渉の席で伝えてきたら、グラッとくるかもしれません」(球界関係者)
鈴木にしても、チームを支えてきたとの自負があるはず。FAの下交渉はこうした選手のプライドに寄り添ったものでなければならない。
「残留でほぼ決まりかけていた選手が、背広組の言った何気ないひと言に傷つき、FA退団したケースも少なくありません。石井監督が交渉の適任者であり、球団もそれを認めています」(前出・球界関係者)
石井監督の頭のなかは10連戦、そして、CS進出のかかったソフトバンクとの3位争いで一杯だ。下交渉の遅延が楽天のオフを激震させなければいいのだが…。
(飯山満/スポーツライター)