佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」莫大な医療費がかかるケースの裏ワザ

 毎日寒いですね。でもね、日本海側の大雪や、トラックがドカ雪で道路上で身動きが取れなくなるニュースを聞くと、寒いなんて文句を言ってられないって思うね。お仕事、ご苦労様です。どんな仕事も体が資本、健康第一です。

 健康と言えば、コロナの規制がどんどん変更されて緩くなるね。1日で500人も亡くなる日もあるのにいいんですかね。

 それも、今までその医療費は無料だったけど、春になって5類へと変更されたら、いずれ自己負担が必要となる。他の病気やケガと同じように病院の窓口で治療費を払う。

 これ、70歳未満なら、健康保険証を見せれば3割負担ですよね。治療や薬など出してもらって、3万円の医療費も自分で払うのはその3割、9000円。

 ところが、コロナの薬は5日分で10万円もする。自己負担は薬代だけで3万円。重症化してECMOなどの措置を受けたら、いったいいくらになるのか。莫大な治療費になる。こういうこと、ちゃんとテレビは報道してほしいよね。

 コロナでなくても検査、手術、入院となったら、医療費は高くなる。

 入院と言えば、保険が効かないものも多い。代表例は個室などの差額ベッド代で、3割負担でなく全額自己負担。さらに保険治療と違って10%の消費税も必要だ。

 まあ、手術そのものは通常のものなら保険が適用される。しかし、いくら3割負担といっても、手術や入院で150万円だ、3割負担で45万円と言われても、そう簡単に払えるものじゃない。

 そんな時にあるのが「高額療養費制度」だ。保険が効く医療費の窓口での毎月の負担額が一定額以上の場合は、制度が負担してくれる。収入によって変わるが、多くの人にとって1カ月の窓口負担の上限は8万100円と少し。これは標準報酬月額28万〜50万円の場合。年収で370万から770万円くらいなので、多くの人はここに入る。

 ちなみに年収がそれ以上、1160万円くらいまでは、1カ月16万7400円と少し。それ以上だと25万2600円と少しが1カ月の上限額となる。

 この「少し」というのは何かというと、1カ月の上限額以上の差額は3割負担から1%負担で計算される。

 例えば年収700万円の人が150万円の手術をした場合、3割負担の45万円のうち8万100円を超える部分、36万9900円は1%負担となるので、30分の1の1万2330円となる。8万100円と合わせて9万2430円。150万円の医療費は45万円じゃなく9万円くらいの自己負担となるわけです。

 年収の話ですが、稼ぎが上の人だけしか話していませんでしたね。

 例えば年収が370万円以下の場合は先ほどの「少し」が不要となる。1カ月の上限は5万7600円、住民税非課税世帯の場合なら3万5400円。つまり、年収が300万円なら、150万円の医療費も患者の負担は5万7600円だけなのです。

 ただし、この高額療養費制度があっても、まずは窓口で3割払う必要がある。つまり、3割の45万円を自分で立て替えて払って、手続きをすれば上限額以上の部分があとで戻ってくることになる(手続きに領収書が必要だから絶対に捨てちゃダメです)。

 だから、まずは45万円が必要となる。手続きをして金が戻ってくるまで4カ月くらいかかるので困る人もいるはず。

 そこで裏ワザです。事前に「限度額適用認定証」を役所に頼んで発行してもらっておけば、この立て替え払いが必要なくなります。

 特に住民税非課税世帯の人の場合なら、この認定証を事前に病院に提示した場合のみ、入院中の食事代の自己負担額もグンと安くなる。認定証の有効期限は翌年の7月末まで。入院ということになったら、この認定証を役所に出してもらうことを考えてください。

 高額療養費制度は、他にも知っておいてほしいことがいくつかあるので、次回もこの続きを書きます。今週も読んでくれて、ありがとうございました。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活動中。著書「おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方」(ぱる出版)ほか多数。

*週刊アサヒ芸能2月9日号掲載

マネー