阪神が今オフの補強終了を宣言した。宣言したの12月16日。そう、新外国人選手のシェルドン・ノイジー外野手の契約合意と、現役ドラフトで獲得した大竹耕太郎投手の入団会見が行われた日である。
「嶌村聡球団本部長から『補強終了』が伝えられました。大竹の獲得は弱点を補うものであり、阪神からすれば狙い通りの補強ができたと思います。その喜びというか、勢いで完了宣言が出たんだと思います」(在阪メディア)
岡田彰布監督は、左の先発候補を探していたという。2022年シーズンを振り返ってみれば、シーズンを通してローテーションを守った左の先発投手はいない。伊藤将司は20試合に登板し、9勝(5敗)を挙げた。「完投6」も立派な数字だが、コロナで離脱した期間があった。伊藤不在の間、阪神は左の先発投手がいなくなり、その心配を払拭するための大竹獲得だった。
「先発ローテーション6人のうち、2人が左投手というのが理想だと岡田監督は話していました。秋季キャンプでは桐敷拓馬の評判が良かったですし、岩貞祐太の先発再転向も決まりました。伊藤はローテーション当確として、大竹、桐敷、岩貞が先発枠を争ってくれたら」(同)
大竹は2年連続で勝ち星ナシ。近年はファームで過ごす時間のほうが長くなっている。今回の阪神移籍について、「活躍できる」と太鼓判を押す声と、「お手並み拝見」の両方が聞かれた。
「そもそも、大竹が一軍に定着できなくなったのは、真っ直ぐの球威が落ちたからなんです。『投球の半分以上が変化球』の技巧派ですが、球速が落ちれば、変化球の効果も半減してしまいます。いまは筋力アップに努め、球威も戻りつつある」
パ・リーグに詳しいプロ野球解説者がそう語っていた。それに対し、「お手並み拝見」の意見は大竹本人ではなく、試されるのは岡田監督だという。
「大竹の球威が戻りつつあるのは本当です。大竹は変化球で打たせてとるタイプ。プロの先発投手は走者をためると、ギアを一段上げてきます。大竹にはその『ギアを上げて』がないんです」(関係者)
打ち損じを誘う技巧派投手が勝利するには、味方野手の協力も必要だ。5年連続リーグワーストの守備陣を建て直そうとして、岡田監督は秋季練習、秋季キャンプで厳しいノルマを課してきた。
球威が戻った大竹が本当に復活できるかどうか、それは、阪神の守備力次第とも言えそうだ。
(飯山満/スポーツライター)