現在、スマホで使えるモバイルタイプを含めると、所有率は8割を超すと言われている交通系ICカード。大都市圏に住む人にとっては生活に欠かせない物となっているが、JR東日本は8日、QRコードを利用した新たな乗車システムを発表。24年に東北地方から順次導入される予定だが、専門家の間ではこれについて懸念の声が挙がっている。
実は、QRコードを乗車券代わりにする方法は、かざすだけでOKのICカードと違って画面をしっかりと読み取らせる必要がある。航空業界でもJALやANAの国内線が機内に搭乗する際、航空券のQRコードをかざしてゲートを通る方法採用しているが、なかなか読み取ってくれずに何度もタッチしている乗客を見たことがある人も多いはずだ。
都市計画や交通工学に詳しい大学教授は、QRコード改札が導入された場合、朝晩のラッシュ時に駅の自動改札で大渋滞が起きる可能性があると警鐘を鳴らす。
「自動改札における交通系ICカードの処理時間は約0.2秒。QRコードも読み取り速度自体は早いですが画面の微妙な角度によって反応しないこともあり、歩きながらだと読み取りはさらに難しくなります。実際、QRコード乗車を導入している中国の地下鉄では、改札前で大混雑が起きています」
いずれは技術的に改善できると見られているが、現状ではスムーズな改札の通過という点で交通系ICカードにまだ分がある。
「ただし、利用エリアが限られているsuicaと異なり、QRコードは新幹線・在来線を含む、JR東日本管内すべてで使えます。長距離移動や券売機のない無人駅からの乗車などには便利です。コードが発行されるのは同社の予約サイト『えきねっと』で購入したきっぷに限定されますが、すべてスマホ上で完結できるのは大きな魅力です」(同)
地方はQRコード、都市部はsuicaとすみ分けができるのが一番いいのかも。
(高島昌俊)