“脱竹”芸人が次々とブレイク!「松竹芸能を辞めると売れる」は本当か?

 今年、「脱竹」(だっちく)という造語が誕生した。松竹芸能を退所した芸人たちが、移籍後に売れたことを皮肉った言葉だ。元松竹芸人の何人かが言い出したらしいが、テレビで広めたのはヒコロヒーやさらば青春の光の森田哲矢。ヒコロヒーは現在の松竹の稼ぎ頭だが、さらばは脱竹組。辞めて売れた好例だ。

 さらばは08年に結成。松竹が運営するタレント養成所の先輩・後輩で、決勝初進出となった「キングオブコント2012」でいきなり準優勝。以降13年~18年にファイナリストとなり、大会史上最多記録を持つ。

 ところが、準優勝しても変わらぬ待遇に不満を抱き、ライブやさまざまな番組で会社を批判。さらに、東ブクロがプロダクション人力舎の先輩芸人である鬼ヶ島・和田の妻と不貞したことが引き金となり、13年に専属契約を終了された。その後に個人事務所「ザ・森東」を設立すると、フリー芸人の先駆けとなり、メジャー事務所を干された芸人と思えないほどのV字回復を遂げた。

 ヒコロヒーと同期で、ともに「女芸人No.1決定戦 THE W2021」の決勝舞台に立ったAマッソも松竹出身だ。在阪時にインディーズのお笑いライブに出ていたところ、松竹関係者の目にとまった。松竹が運営するタレント養成スクールに特待生で入学して、プロに転向。およそ2年間在籍したが、方向性の違いを理由にみずから退所。フリー後にワタナベエンターテインメントに所属して、才能が開花した。

 ピン芸人の成功者は、「R-1グランプリ2022」で優勝したお見送り芸人しんいち。現在はサンドウィッチマンや東京ホテイソン、ランジャタイやカミナリなどの人気芸人を擁するグレープカンパニーに所属しているが、芸人デビューは大阪の松竹芸能。コンビ「しんいちけんぢ」として、関西を拠点にしていた。上京後に退所して、一度は芸人を引退。13年の復帰と同時にサンドの事務所に身を置き、ブレイクした。

「一発屋芸人もいます。『ダメよ~、ダメダメ』で14年の『新語・流行語大賞』の年間大賞を獲った日本エレキテル連合。元松竹で、『日本パブリック連合』のコンビ名で活動していました。09年10月をもって活動を休止し、上京、改名後に現在のタイタン所属となりました。『ワイルドだろ~』のフレーズを流行させたスギちゃんも、名古屋吉本、浅井企画などを渡り歩いたあと、松竹に身を置いた時期があります。現在はサンミュージック所属です」(芸能記者)

 平成松竹の一角を支えたTKOは、表舞台から姿を消した。木本は投資トラブルに巻き込まれ、木下は後輩芸人への“ペットボトルパワハラ”騒動などを理由に退所した。時は流れて、令和のヒロインはヒコロヒー。脱竹しないことを願うばかりだ。

(北村ともこ)

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