BTS「メンバー入隊」を次々発表…所属事務所が目論む「次のBTS」と「新ビジネス」

 BTS(防弾少年団)につきまとっていたメンバーの兵役問題は、韓国政界も巻き込んだ大論争になっていたが、所属事務所のHYBE(ハイブ)が10月17日、最年長メンバーのJINの入隊を発表。以後、順次メンバーが入隊することを公表して決着はついた。

「悪材料を出し切ったことでHYBEの株価は上昇。さらには25年には兵役を終えたグループの活動再開の可能性まで示唆され、一時は7.8%も株価が上がりました」(経済ジャーナリスト)

 ただ、HYBE株の上がった理由はそれだけではないようだ。というのも、一番の稼ぎ頭のBTSを失うことは事業の柱を失うことでもあることから、このところ、HYBEは必死に「多角化」の道を模索していた。それが軌道に乗っていることが評価されたようなのである。

「多角化の1つは『次のBTS』を生み出すこと、もしくは、BTSリスクを分散させることです。同社では『中期計画』でこれを打ち出していますが、その1つとして年内に3つのグループをデビューさせ、さらに23年には4つ以上のグループをデビューさせるとの方針を打ち出しています」(前出・経済ジャーナリスト)

 この多角化には、日本とアメリカで従来のK‐POPの製作方式を使って売り出すことも含まれていて、グループの数を増やすだけでなく、海外市場で稼ぐという戦略も含まれている。

 もう1つは、アイドルグループという「コンテンツ」の、ショービジネス以外の事業への積極的な進出だ。

「既に昨年末にはHYBEは定款を変更して、音楽制作や芸能人のマネジメントの他、化粧品や食品、娯楽・観光までも事業の目的に加えています。また既に行っているゲーム事業は分社化してこれに特化、さらにはNFTやメタバースといった、次世代のデジタル事業にも手を広げています」(前出・経済ジャーナリスト)

 コンテンツとしてのBTSの力は失わせることなく、さらに「次のBTS」も作り出す。圧倒的に強いコンテンツ群を作り出すことでその後の多角化も成功させる。HYBEにとってBTSの入隊問題は、すでに過去の出来事なのかもしれない。

(猫間滋)

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