プーチン逆切れ「核乱射」の恐怖シナリオ!(1)もはや勝ち目のない戦争に

 2月末の侵攻から7カ月余り、ウクライナ戦局が大きな山場を迎えている。戦闘が続く東部4州の併合を一方的にプーチンが宣言すれば、ゼレンスキーは「NATO加盟」を申請して対決姿勢を貫徹させる。終わりの見えないドロ沼戦争が、いよいよ究極兵器の使用に踏み込む最悪の最終戦へと発展するのか。

「永遠に私たちと同じ国民になる」

 9月30日、ロシアのプーチン大統領(70)は、住民投票を行った結果として、ウクライナ東部のルハンスク、ドネツク、ザポリージャ、ヘルソン4州のロシア編入を発表した。モスクワで行われた「併合式典」では自ら国歌を歌い、「故郷にお帰りなさい」と祝福の言葉を発したプーチンだが、実際には針のムシロの境遇にあるという。

 国際部デスクが現在の戦況について解説する。

「一時は苦戦が報じられたウクライナ軍ですが、9月に入ってから反転攻勢が顕著です。9月10日には、北東部ハルキウ州・イジュームを奪還した勢いが止まらず、そのまま東進。9月末にはドネツク州に攻め込み、東部地区への補給の要衝であるリマンのロシア軍を完全包囲すると10月1日には奪還に成功している。併合宣言の翌日にリマン陥落となった裏ではプーチンによる『併合するまでは死守せよ』という厳命があったと言われている。そのため、四面楚歌となった約5000人のロシア兵はほぼ壊滅した模様です」

 併合という既成事実のためには自軍でも見殺しにするという非情の指令が本当ならば、まさに狂気の沙汰も極まれり‥‥。

 加えて、これに先立つ21日には軍務経験のある予備役30万人を召集する「部分動員令」を発動させたことにより目下、国内は大混乱のありさまだ。モスクワなどでは抗議運動で1300人超が逮捕されたほか、従軍を拒む若者はビザなしで渡航できる南のジョージア、中央アジアのカザフスタン、さらには北欧フィンランドなどに国外脱出。その数は当初20万人と伝えられたが、その後、120万人超と増加する一方。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏はロシア軍の脆弱さを指摘する。

「もちろん米軍による情報提供もあるが、特に情報戦においてロシア軍はガタガタ。その上、防衛ラインを突破された地域に動員した兵士を送り込んでも、さらに何千人と減っていくことになるだけ。ロシア国民もこれまではよその国の戦争という感覚だったが、今は赤紙が届き、死ぬためだけに戦場に送り込まれることが身に染みているのです」

 この動員こそがプーチンの焦りの証拠だと、国際ジャーナリストの山田敏弘氏が分析する。

「そもそも攻め込まれている側の人員が足らないのならば理解できるが、攻め込んでいる側が動員しなければならないという事態は、もはや勝ち目のない戦争という証拠です。これまではプーチンを擁護してきた国内タカ派からも、『いつまで戦争を続けているんだ』という厳しく批判する声が出始めている」

 圧倒的支持を誇るプーチンだが、部分動員令により支持率を77%と6ポイント下げ、恐怖支配の終わりの始まりの兆しを見せている。追い詰められたプーチンが次に打つ手とは─。

*週刊アサヒ芸能10月20日号掲載

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