巨人、広島の“ドミニカ飽和国”状態に他球団は「余っているなら、くれ!」

 巨人は6月27日、緊急補強したルビー・デラロサ投手(ドミニカ共和国)の入団会見を行った。デラロサはレッドソックス時代に上原浩治のチームメイトで、「準備をしっかりして、毎日のルーティンを動かさないことが大事と学んだ」と、“日本流の練習”に敬意を表していた。

 会見前には二軍練習にも参加したという。手薄な救援陣に新しい投手が加わったことは間違いなくプラスだが、「困ったときの緊急補強」という発想は必ずしも正しいとはいえない。まして、巨人は他球団も羨む“外国人ファクトリー”でもあるからだ。
 
「三軍、まだ育成枠選手扱いですが、ファーム戦では相手チームも一目を置く外国人選手がいますからね」(球界関係者)

 無名の若手外国人選手を育てるということでは、広島のカープアカデミーが有名だ。育成目的の若い外国人選手を、三軍制の巨人、ソフトバンク、広島が一部国内でも受け入れており、巨人の背番号「014」のイスラエル・モタ外野手、広島の背番号「114」のアルフレッド・メナ投手(ともにドミニカ共和国)が注目されている。

「モタは社会人、大学生チームと試合をする三軍戦に出ていましたが、本塁打の飛距離がハンパではない。アマチュア投手を打ち砕いた実績を認められ、今は二軍戦にも出場しています。右バッターなのにライト方向にも大きな一発を放っており、イースタンの対戦チームも『(一軍で)使わないのなら、くれ』と言っているくらいです」(前出・同)

 メナは右のオーバーハンド。大きく曲がるスライダー系の変化球でウエスタンリーグのバッターから空振りを奪い、球速以上に重いボールでゴロアウトも量産していた。「また、広島から優良外国人投手が出てきた」とファンも期待していたが、こちらも一軍はおろか、支配下登録の話は一向に出てこない。

「即一軍で通用するというレベルにはまだ至っていません。でも、外国人選手の試合出場枠がなかったら、一軍のレベルを一度経験させ、二軍で鍛え上げていきたいと思うはず」(ベテラン記者)

 外国人選手の獲得は、プロ野球チームにとって不可欠な補強法だ。しかし、獲得した外国人選手が全員、活躍するわけではない。昭和、平成の時代から「日本球界に不向きな選手だった」との声もなくならない。

 日本で育てる若手外国人の割合を増やしていくべきなのかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

スポーツ