価値がどんどん下がっている。
東地区のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)決勝トーナメントが埼玉県の浦和で開催された。ベスト16、準々決勝、準決勝とチームによっては中2日で3連戦という過密日程。
4月に行われたJクラブのグループステージは、タイ、マレーシア、ベトナムという高温多湿の国で行われ、中2日で最大6試合という日程。結果、ホームで戦えたタイやマレーシアのチームが決勝トーナメントに進出し、J1王者の川崎フロンターレやKリーグ(韓国)2位の蔚山現代が敗退するという番狂わせが起こった。セントラル方式(集中開催)をとるのであれば中立国で開催するべきだ。
また、中国勢は新型コロナウイルスの影響で主力選手を派遣せず、昨季はユースチーム、今季も20歳前後の若手で参加し、1勝もできず完敗してグループステージを敗退している。
ACLがモデルとしている欧州チャンピオンズリーグや南米王者を決めるリベルタドーレス杯ではこういう事態は起こり得ない。あくまでホーム&アウェー方式で、第1戦の結果によって第2戦をどういうメンバーで、どういう戦い方をするのかを練りあげる。それがあるから面白い。
しかも欧州チャンピオンズリーグの優勝賞金は25億円で、勝ち上がるごとに賞金が貰え、放映権料などを加えると優勝クラブは日本円で200億円近くを手に入れる。リベルタドーレスでも優勝賞金は約16億円になる。対してACLの優勝賞金は約5億円。この金額を比べれば、各クラブの力の入れ方が変わってくるのも当然だろう。
ACL東地区の決勝進出チームは決定したが、決勝は来年2月。シーズンをまたげば監督が代わったりメンバーが入れ替わって、全く違うチームで戦うことになってもおかしくはない。
どう見ても、無理やりスケジュールをこなしているようにしか感じられないのだ。こういうやり方で、アジアのサッカーのレベルが上がるとは思えないのだが……。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。