森保一監督が電撃入閣の長谷部誠コーチを“ベンチ外でパイプ椅子”扱いにした理由

 2026年サッカーW杯北中米大会の出場を賭けたアジア最終予選が開幕。9月5日、日本はホーム(埼玉スタジアム)で中国を相手に7-0と快勝した。過去2回の最終予選では初戦に負けているとあって、森保一監督は「選手たちが過去の苦い経験を生かして良い準備をしてくれたから」とホッとした表情で話していた。

 最終予選を前に話題となったのが、元日本代表主将でW杯に3大会出場経験のある長谷部誠コーチの電撃入閣。ただ、直前だっただけに中国戦でベンチ入りするのかが注目されていた。

「監督コーチのベンチ入りの定員は11人。日本サッカー協会(JFA)関係者によれば、監督、ドクター、そしてチーム広報は必ずベンチ入りします。残りは8人。最終的に誰が入るかを決めるのは森保監督ですが、あえてベンチ入りさせなかった。この“采配”には関係者も驚いていました」(夕刊紙記者)

 長谷部コーチが試合中、座っていたのは記者席だったのである。

「記者と同じパイプ椅子での観戦だったんです。つまり、まだ駆け出しのコーチ扱いということ。森保監督は長谷部コーチを呼んだ仕掛け人ではありますが、まったく贔屓することのない“人事配置”はお見事でしたね」(前出・夕刊紙記者)

 一方、選手ではこの試合で復帰し1ゴール2アシストと大活躍した伊東純也が「森保さんは何度も連絡をくれた。出場している試合はしっかり見ているからという話だった」と感謝をすれば、以前の代表戦で「もっと試合中に指示を出してほしい」と監督批判とも取られかねないコメントをしていた守田英正も「もっと言ってもらって構わないと言われた。森保さんの懐の深さを感じました」と話しており、信頼関係はさらに深まっている。

「最終予選は何が起きてもおかしくありませんから。全てを教訓にしていきます」と、それでも神妙な面持ちで試合後のコメントを締めくくっていた森保監督だが、スタッフ、選手が最高のパフォーマンスを出せる環境作りは、すでに仕上がっているようだ。

(小田龍司)

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