アメリカ下院のナンシー・ペロシ議長が訪台したことで中国が台湾周辺で大規模な軍事訓練に踏み切っていた8月7日。日本では小野寺五典元防衛大臣を首相に見立てた自民党国会議員や自衛隊の元幹部らによって「台湾有事」を想定したシミュレーションを行ったことで話題になった。
設定は27年で台湾有事が起こった際、日本政府はどう対応すべきか。そもそも何をもって「有事」とするか、その場合に邦人の安全をどう確保するか、自衛隊の輸送能力でどう賄うか‥‥といった主に「政治」の課題を認識して準備しておこうというものだ。
一方アメリカでは、米国有数のシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)のアナリストや退役軍人、海軍士官、国防総省の元当局者らが、やはりシミュレーションを行っている。設定は26年の中国による台湾侵攻。こちらは純粋に軍事上のシミュレーションで、9月まで行い、結果は12月に公表される予定だ。
「参加者が西太平洋と台湾の地図上に向かって膝を詰め合わせ、定規を使って赤と青の軍隊を示すボックスを動かしていくという『ウォーゲーム』ですね。核の使用は無いとか、日本は国土が攻撃されない限りは作戦に参加しないものの、米軍基地の使用権を拡大するといった、現実にあり得るかどうか分からないという前提はあるものの、
ざっと損害は、開戦から4週間で米軍が保有する戦闘機の約半分にあたる900機が失われるものの、
「カギは中国が制空権と海上優勢を築く前に中国の艦隊をいかに叩けるかで、だからアメリカでは戦闘機の被害が大きく、中国は艦艇の多くを失うということになるのだとか。台湾にとっては対艦ミサイルが重要になるそうです」(同)
そこで気になるのが22回のうち18回は侵攻を撃退できたとして、残りの4回はどうなのかということ。ロシアのウクライナ侵攻のように長期化するということかこれについてはまだ漏れ伝わってはいないようで、12月に公表される結果が気になるところだ。
(猫間滋)