「1円iPhone」が当たり前!?スマホ「不当廉売」の疑いで公取委がメス

 いま巷には「1円携帯」を謳うものが溢れているが、公正取引委員会は8月9日、これに関して大手4社を対象に実態調査を開始するとした。

 確かにネットで見ると「1円携帯」に関する情報が多数ヒットする。家電量販店、キャリアのショップ‥‥大手キャリアのサブブランドが中心だ。中でも目を引くのが、人気のiPhoneで5Gにも対応する「iPhone13 mini」が本体価格で10万円以上するにも関わらず「1円」で手に出来るというものだ。プランの1つとしてこんなものが上がっていた。

・まず最初に「対象機種限定特典」といった店舗の割引約3万2000円と「他社からの乗り換え」でキャリア割引2万2000円を受け、これで約10万1000円の本体価格のうち5万4000円ほどの割引。

・2年間24回分割払いに加入するが、23回分はこれらの割引が適用されて「1円」の支払いで済む。

・24回目に残りの約4万6000円を支払うことになるが、携帯を返却すれば支払わずに済む(支払えば約半額近くで携帯が買えたことになる)。

 つまりは実質「レンタル」。スマホの買い替えはだいたい2〜3年に1回なので、その間をレンタルで過ごせば高い機種代金を支払わずに、最新機種に近いスマホが持てるとというわけだ。

「かつては高額なキャッシュバックでやはり『1円スマホ』というものが世の中に氾濫していましたが、19年秋に電気通信事業法が改正されてこれが出来なくなりました。ところが昨年秋からこういったレンタルでの『1円スマホ』が多数出現。そこで新たな規制が必要ということで動き出したということです」(経済ジャーナリスト)

 そういう意味では、携帯各社と当局との間でのイタチごっこがまた始まったと言えるのだが、背景として、こうした安売りによって事業環境が支えられているという側面がある。

「携帯各社は本来は通信費が稼げる5Gに顧客を誘いこむ必要があります。そこで最初はahamoやpovoの割安プランで『1円スマホ』を販売。ところが割安プランでは、5Gでサクサク動画を見ていると自ずとギガ数が不足する。するとユーザーは自然と上のブランドに流れて、高額な通信料を支払ってくれる優良顧客に様変わりするというわけです」(同)

 つまりエサとしての「1円携帯」は、総務省から値下げを迫られた携帯各社の競争の中にあって、必然的に生まれたものなのだ。そして今度はこれも封じようという。ではその次はどんなものが出てくるだろうか。

(猫間滋)

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