巨人と阪神「大逆転V」のウルトラC作戦(1)巨人・菅野をリリーフに回すプラン

 燕の主砲がホームランを量産し、チームはすっかり独走態勢。しかし、伝統球団が反撃の狼煙を上げる。巨人が情け容赦ない〝粛清人事〟を発令すれば、〝ダメ虎〟から立ち直った阪神は首位潰しのマル秘作戦を計画。ゲーム差が開いても、まだまだペナントを諦めるには早計すぎやしまいか。

 大逆転Vに向けて、「鎌倉殿」さながらの粛清劇が始まった。8月2日、巨人の臨時投手コーチに球団OBの高橋尚成氏(47)が就任。12球団ワーストの防御率4.04、306与四球(8月5日現在、以下同)にあえぐ投手陣のテコ入れにさっそく着手した。巨人球団関係者が経緯を解説する。

「何を隠そう、全権を握る原辰徳監督(64)自らラブコールを送りました。制球力を武器に海を渡った実績と明るいキャラクターを見込まれて、先月、解説者の仕事で東京ドームに訪れた尚成に直接打診したようです。あまりの急転直下に本人も『え! マジで!?』という反応だったとか。現在は生活拠点をロサンゼルスのアナハイムに移しており、現地の家族との相談で8月20日までの任期となりました」

 目下、ファームで伸び悩む若手左腕の育成に尽力中だが、巨人関係者が続ける。

「一番の目的は高橋優貴(25)の再生に他ならない。昨季11勝を上げながら、今季はここまでわずか1勝のみ。四球から崩れるパターンでKOされてばかりで、どうやら、桑田真澄投手チーフコーチ(54)の指導が裏目に出ているようです。『完投』と『制球力』にこだわるあまり、高橋のフォームやメンタルに悪影響を与えてしまった。今やエース格の戸郷翔征(22)のように〝クワタの教え〟がハマることもありますが、それは極めて稀なケース。自分のノウハウが万人に通用すると疑わない、頑固な指導法が一部の選手から不評を買っているんです」

 早い話、シーズン途中の異例人事は桑田コーチを牽制するイエローカードだという。このまま成績が改善されなければ懲罰左遷も免れまい。スポーツ紙デスクが声を潜めて明かす。

「早くも桑田コーチと3軍の杉内俊哉コーチ(41)のシャッフルが検討されているようです。昨季、当時の石井琢朗野手総合コーチ(51)と相川亮二バッテリーコーチ(46)が成績不振を理由に3軍に左遷させられた流れと同じです。もはや、原監督が三顧の礼で迎えた経緯はなかったことにされたも同然でしょう。1軍首脳陣は『次は俺の部門が突かれるかも‥‥』と疑心暗鬼に陥っているようです」

 もちろん、選手サイドにも聖域はない。ここまで6勝5敗、防御率3・56で失速気味のエース・菅野智之(32)の配置転換まで囁かれている。

「今季は抑えこそ、ドラ1新人の大勢(23)で安定していますが、鍬原拓也(26)や平内龍太(24)らセットアッパーは出たとこ勝負です。そのため、後ろを補強するために菅野をリリーフに回すプランが水面下で浮上している。140キロ前半の直球でも1イニング限定であればゴマカシがききますからね。それに、今の衰えた菅野の代わりの先発ならファームに複数人います。後半戦は、リリーフを4〜5回から惜しみなく投入できる体制に持っていきたいようです」(球団関係者)

 復帰の目途が立たない主将も例外ではない。持病の腰痛で離脱中の坂本勇人(33)のためにリスクヘッジが敷かれるという。

「チームは、準レギュラーの境遇に不満を漏らしていた中田翔(33)を餌にレギュラーショートの獲得に動きましたが、期限内にトレードは成立せず。現状、坂本の復帰を見据えてショートのポジションを空けて待っている状態です。ところが、不測の事態に備えて坂本本人が一度は固辞したファースト転向案も保険としてペンディングされたままなんです。腰のコンディションは想像以上に思わしくないと言われます」(球団関係者)

 ファーストの中田をレフト、セカンドの吉川尚輝(27)がショートに回る大がかりなコンバートになる見込みだ。

「空いたセカンドには、今季ブレイク中の増田陸(22)が入る。坂本が守備負担が少ないファーストに転向すれば、打撃に全集中できます。より強固な打線を形成できるでしょう」(球団関係者)

 安住のポジションなどない劇的な改革が、果たしてチーム状況をガラリと変えてくれることになるか。

*巨人と阪神「大逆転V」のウルトラC作戦(2)につづく

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