巨人と阪神「大逆転V」のウルトラC作戦(2)阪神・佐藤輝を二塁にコンバート

 前半戦のうちに最大16まで膨らんだ借金を完済した阪神では、株主総会対策と揶揄された外国人スラッガーの評判がすこぶるいい。在京球団スコアラーが語る。

「6月に獲得したロドリゲス(30)は5球団から警戒されています。20年にオリックスでプレーしましたが、結果を残せずに1年でクビになります。ところが、翌年復帰した米マイナーで29本塁打、94打点を叩き出す覚醒ぶり。秋山翔吾(34)の獲得で断念したようですが、実は広島と水面下で争奪戦が繰り広げられていました。しかも、年俸は約3300万円。阪神は久しぶりにお得な買い物ができましたよ」

 さらに、足手まといだった助っ人が後半戦のキーマンに急浮上した。先のスポーツ紙デスクも評価を変えたようで、

「ケラー(29)の評価がうなぎ登りなんです。開幕時はクローザーに抜擢されましたが、ウイニングショットのパワーカーブを狙い打ちされてセーブ機会でことごとく失敗。すぐさまファームに降格されてしまいましたが、ファームでフォークを習得して生まれ変わりました。抑えでブレイク中の湯浅京己(23)に握り方のコツを学んだのが功を奏したようです。6月に再昇格した後の10試合で連続無失点。初めは『通用しない』と辛口だった虎OBたちも『抑えでも十分イケる』と手のひらを返して称賛しています」

 好投中なのはケラーだけではない。先の巨人とは対照的に、阪神のチーム防御率はセ・リーグトップの2.54(8月5日時点、以下同)。ハーラートップの12勝を上げるエース・青柳晃洋(28)を軸にした投手王国が築かれている。とはいえ、首位を独走するヤクルトには大きくゲーム差をつけられているのが現実だ。後半戦の開幕カードも3連勝目前で〝村神様〟のアーチに泣かされた。

「3タテできなかった原因は、主砲の村上宗隆(22)と不用意に勝負したこと。試合中にキャッチャーの梅野隆太郎(31)が救いを求めるようにベンチに視線を向けていましたが、矢野燿大監督(53)からの指示はなし。昨季のサイン盗みの一件から、村上との対戦になると我関せずの態度を示す傾向があります。結局、勝負を選んで同点弾とサヨナラ弾を打たれてしまった。某コーチは『これからは全打席敬遠せんとアカンわ(笑)』と冗談交じりに村上攻略法を周囲に漏らしていました」(トラ番記者)

 主砲の大暴れを封じたら、一人残らず主軸を潰していく。ヤクルトがアレルギー反応を起こす〝壊し屋〟に登場いただこう。

「右打者の塩見泰隆(29)や山田哲人(30)らが、藤浪晋太郎(28)のシュート回転する160キロの直球を過剰に恐れています。ぶつけられて負傷するのは勘弁願いたいようです。そのため藤浪の登板時、ヤクルトは多くの右打者をベンチに残したスタメンを組まざるをえなくなる。ただし、阪神サイドにもリスクはあります。四球連発による自滅と左打者の内角に投げたボールがド真ん中にいく危険をはらんでいますからね」(スポーツ紙デスク)

 それでも、首位との差が埋まらなければ、さらなるウルトラCを発動する予定だ。

「佐藤輝明(23)をセカンドにコンバートさせた超重量打線の形成です。空いたサードあるいは外野に、外国人選手や糸井嘉男(41)を起用する。オープン戦で佐藤のセカンド守備はテスト済み。投手力に相反して得点力リーグ4位(343点)の貧打を解消して、ヤクルトと真っ向勝負です」(トラ番記者)

 両チームが最終決戦を賭けて挑むヤクルトにも不安材料がないわけではない。

「他球団のスコアラーは、勝ち試合に投げる今野龍太(27)、清水昇(25)、田口麗斗(26)、そしてマクガフ(32)のデータ収集に並々ならぬ注力をしています。昨季から活躍するメンツだけに終盤戦には丸裸にされる公算が大きい。その動きを警戒して、ロッテから変則左腕の山本大貴(26)を獲得したといいます。終盤で他チームにまくられる可能性、さらにはヤクルトがこのまま逃げ切っても、CS時にはチーム力が逆転していることも否定できない」(スポーツ紙デスク)

 にわかに激震の予兆が出始めているが、いずれにせよ、1強5弱のままではペナントも興ざめ。奇跡の大逆転ドラマを見せてはくれないものか。

*「週刊アサヒ芸能」8月18・25日号掲載

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