反カルト法めぐり紀藤弁護士が橋下徹氏に反論「40年前の議論を蒸し返して…」

 旧統一教会の問題に長年取り組んでいる紀藤正樹弁護士が8月8日放送の「ミヤネ屋」(読売テレビ)に出演し、元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏と議論を繰り広げた。

 番組で「反カルト法のような法律を導入すべき」と主張した紀藤弁護士。フランスでは“カルト認定”に、「精神的不安定化」「法外な金銭要求(献金など)」「重大な訴訟問題」など、10個の基準が設けられていることを紹介。そのうえで、フランスでは被調査団体に指定されると、調査機関の監視下に置かれると解説した。そのうえで「ルールは公開しておいたほうが、被調査団体においても争う手段があるという意味で、曖昧にするよりむしろ公開したほうがいい」とカルト認定の中立性について語った。
 
 これに橋下氏は、「僕も今、ガイドラインを作ろうとしてるんですが」と前置きして、「そこは内心には立ち入りません」と語った。司会の宮根誠司が「内心というのは信教の自由だったり…」と補足すると、橋下氏は「内心というのは教義内容だったり。どういうことを信仰しているんだとか」と解説したうえで、献金額や霊感商法といった外形的な行為を見て「反カルトとは言わずに、トラブル団体。ものすごく社会的にトラブルを起こしている団体ということで今、ガイドラインを作ろうとしてますから、宗教に限りません」と説明し、紀藤弁護士が語った「反カルト」の概念について、「宗教に絞っているような規制」との見解を示した。
 
 そして橋下氏は旧統一教会の問題は「絶対に対処するなり処罰しなければいけない」としながらも、「教義内容とか内心まで踏み込むのは危険だと思います」と主張した。

 そこで宮根が「橋下さんの『教義には踏み込まない』、この意見どうでしょう?」と話を振ると、紀藤弁護士はこう回答した。

「橋下さんの議論はですね、1970年代から80年代に欧米で議論された議論をそのまま今言われているんですね。私から言わせると、40年以上も前の議論を蒸し返しているんですけども、70年代から80年代の議論を経て、90年代にカルトの規制を欧州だけじゃなくてアメリカでもずっと考えてきている。その成果、何が成果かと言うと、内心には立ち入らないんですよ。信教の自由に立ち入らない」

 欧米ではそれが常識になっているとして、紀藤弁護士はカルト規制法について、「さっき(橋下氏が)宗教団体って言われましたけど、宗教団体に限りません。つまり団体規制なので宗教団体だろうが、政治団体だろうが、経済団体であろうが、この指標にあてはまるものはカルト認定。つまりセクトって言ってますけど」と反論し、「セクト規制法って言ったほうがわかりやすいかもしれませんけども、宗教団体に限ってない」「具体的な行為に基づいてセクト認定をする」と、すでに諸外国ではカルトおよびセクトを規制するルールがあるが、日本にはそうしたルールがないと持論を述べた。

 番組で互いの主張をぶつけ合った紀藤弁護士と橋下氏。旧統一教会が起こしていたような献金トラブルや霊感商法の被害が日本国内で出ないように、今後も前向きな議論を続けてほしい。

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