「新型コロナウイルス被害」による公平性とは‥‥。7月23日、巨人が山口鉄也投手コーチ、菊田拡和内野手、育成の大津綾也捕手の新型コロナ陽性判定を発表した。
「前日22日に原辰徳監督が陽性であったことも伝えています。5日間で76人、支配下登録選手69人中38人が感染したことになります」(スポーツ紙記者)
22日からの中日3連戦が早々に中止されたのも致し方ないこと。しかし、同時にこんな声も聞こえてきた。なぜ、東京ヤクルト、広島は試合を強行したのに、巨人はそうならないのか、と——。
中日3連戦の中止・延期を決定したのは、21日に緊急招集された12球団実行委員会だった。その様子を知る球界関係者がこう証言する。
「試合成立は不可能、中止すべきと提案したのは巨人ではありません。中止の提案に反対した球団代表者は1人もいませんでした」
東京ヤクルトは約40人、広島は30人ほどの陽性者を出してしまった。巨人の76人は規模が大きすぎる。また、21日の話だが、巨人選手で感染していない内野手は、故障リハビリ中の坂本勇人を入れて4人。「チームが編成できない」という実情も加味されたのだろう。しかし、それだけではないようだ。
「ヤクルトが残りのメンバーだけで戦ったのが、記憶に残っていたからですよ。5連敗でしょ? 『残った選手だけで試合をさせるのは気の毒だ』と‥‥。力の差が歴然としていましたし」(前出・球界関係者)
プロ野球界は7月だけで214人(22日時点)の感染者を出してしまった。巨人までとは言わないが、今後、チームを編成できない球団が現れる可能性は否定できない。
メジャーリーグではどう対処しているのか、米国人ライターがこう言う。
「自己申告ですよ。たとえ陽性判定が出ても、ケガと同様の扱い。PCR検査も廃止されましたし、当該選手が『大丈夫』と言えば、試合にも出られます。一球団当たりのメジャーリーグ機構が定めたワクチン接種者の割合があって、それをクリアしたうえでの話ですが。その割合ですが、球団スタッフ全員が接種すれば、選手が受けなくてもクリアできる程度の数値です」
NPBは過敏に反応しすぎているのだろうか。お国柄も考え方の違いもあるが、NPBは143試合を消化できない可能性も含め、コロナ対策についてもう一度話し合うべきである。
(スポーツライター・飯山満)