阪神だけでなく、ファンや球団関係者から「落合監督待望論」がくすぶる理由について、在阪スポーツ紙デスクが解説する。
「〝劇薬〟と称されながらも、チーム強化において、落合さん以上の監督はいないからですよ。例えば、現役時代に球団の顔として絶対的存在だった立浪和義現監督(52)の衰えを見抜き、伸び盛りだった森野将彦現打撃コーチ(43)を抜擢したケースなんて、象徴的でしたね。一切の忖度がなく、情も絡めない選手起用をできる監督はなかなかいませんよ。その一方で、門外漢の投手に関しては、専門家である投手コーチに一任する度量もある」
常に「勝つことが一番のファンサービス」と公言する勝利至上主義者の落合氏は、鋭い観察眼においても多くの逸話を残しており、
「有名な話ですが、ある試合で当時の正捕手・谷繁元信氏(51)が球審の様子がいつもと違うことに不安になり、落合監督に伝えると、すぐに体調不良を見抜いて進言し、審判交代となったことがありました。また、コントロールに定評のあったエース・吉見一起氏(37)が辛めの判定でボールを連発した試合では、その試合の球審に『今日の吉見はちょっとおかしい。お前は間違ってないからそのままやってくれ』と話したこともありましたね」(中日担当記者)
卓越した指揮能力が評価される中、「オレ流采配」を振ったチームはただ中日のみ。それもまた、〝劇薬〟と呼ばれるゆえんだ。
「マスコミとの軋轢がハンパない。理由は情報漏洩の防止です。まずは球団OBを徹底的に無視します。キャンプに来て、あれこれと指導したり、選手と関係を築くOBはどこにでもいますが、それを許さない。どこの球団で監督再登板となったとしても、解説者や評論家のブーイングが目に見えている」(在阪スポーツ紙デスク)
中日の監督時代には、親会社である中日新聞の記者であっても信用せず、厳しい取材規制を敷くほどだった。
「落合さんが球団の送迎車で帰るところを待っていた記者が、車の窓から覗き込んで話を聞こうとすると、パワーウインドウで頭を挟まれたなんて、ウソのようなこともあったそうです。その上、落合さんが運転手に『いいから行け!』とまで言ったとか(笑)」(中日担当記者)
*セ界に渦巻く「落合監督待望論」は本当か【3】につづく