15日から映画「キングダムⅡ 遥かなる大地へ」(東宝/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)が公開される。山崎賢人が主演する大人気コミックの実写版シリーズ2作目で、前作に続く大ヒットが期待されている。しかし、日本の漫画やアニメが高く評価されている中国国内での人気はイマイチとか。
「作品に対する賛否は割れています。中国では自国の歴史を扱った海外作品に対する抵抗感が昔からあります。これが『パリピ孔明』のようなぶっ飛んだ作品なら逆にウケたりしますが、キングダムは概ね史実に基づいた物語。それも主人公・信が後の秦の始皇帝に仕える人物というのも大きく影響しています」(中国在住ライター)
始皇帝は歴史上初めて中華統一を果たしたが、中国では暴君としての悪いイメージが定着。そのため、他の歴史上の英雄と比べて人気がないという。
「中央集権体制を確立させ、統一通貨の導入や交通インフラの整備など政治・経済で数々の改革を行い、為政者として専門家からは高く評価されています。しかし、国中の儒学の書物を焼き払い、多くの儒学者たちを生き埋めにした『焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)』は、後世の人々に暴虐非道な人物としての印象を与えてしまいました。ただ『坑儒』に関しては、儒者ではなく神仙の術を使う方士との説もあります」(同)
さらに不老不死を望み、臣下たちに徹底した調査を行わせ、薬として水銀を飲んでいたともされる。
「名君にも暴君にも数えられる偉人は多くいますが、始皇帝もその一人。しかも、晩年の狂気じみた思想統制などが庶民の抱く人物像を決定づけてしまいました。実際、中国のネット上ではアニメ版に対して《面白い!》とコメントする人がいる一方、《秦の時代の話だから興味が湧かない》や《始皇帝はちょっと…》など先入観による意見も目立ちます」(同)
日本でも徳川家康は戦国三英傑の中で一番人気がなく、初めて武家幕府を開いた源頼朝も弟・義経を死に追いやった人物として嫌う人が多い。どんな歴史上の偉人でも一度ついた世間のイメージを払拭することは簡単ではないようだ。