コロナ禍に一大ブームを巻き起こし、店舗数を急拡大している唐揚げ専門店。しかし、外食チェーン最速100店舗を達成して話題となったワタミの「から揚げの天才」では店舗の閉店が相次ぐなど、唐揚げ専門店の苦境も聞こえるようになってきた。このままブームは終焉を迎えるのだろうか?
日本唐揚げ協会によれば、2022年4月現在の唐揚げ専門店は全国で4379店舗あるとされ、12年の450店舗から10年で約10倍に拡大。数字だけを見れば唐揚げ専門店の快進撃は続いているようにも思えるが、飲食チェーン大手が運営する唐揚げ専門店でも店舗数の鈍化が進んでいる。
21年7月に1号店オープンから2年7カ月で100店舗出店を果たした「から揚げの天才」は22年6月30日現在では97店舗と100店舗を割り込み、6月28日にはには同フランチャイズに加盟して11店舗を運営していたアークコアが、フランチャイズ契約の解除を発表した。
「唐揚げ協会が発表した店舗数を見ても、ブームが過熱し過ぎたことは否めないでしょう。唐揚げ専門店はフライヤーなどの調理機器を揃えれば開業が可能で、テイクアウト専門であれば極小スペースで一人でも営業可能。そこへコロナ禍のテイクアウト需要が重なり、飛ぶ鳥を落とす勢いの出店攻勢となりました。しかし、これだけ店舗数が増えてしまえば淘汰が始まるのはむしろ自然なこと。しかも、今は原材料となる鶏肉に小麦粉、食用油とすべてにおいて仕入れ価格が高騰していますから、今年の下半期は唐揚げ専門店にとって正念場になるのではないでしょうか。ただ、唐揚げはタピオカや高級食パンのように、それまであまり馴染みのなかった料理ではなく購入層が広いことから、ある程度のテイクアウト需要は続くとみられています」(経営コンサルタント)
今後の唐揚げ専門店は、拡大よりも維持がテーマになるのかもしれない。
(小林洋三)