スピリチュアル采配!阪神「矢野劇場」(3)ガッツポーズは義務だった!

 また、好きな言葉が「走姿顕心(そうしけんしん)」。「走っている姿にその人の心が現れる」という意味だが、練習態度や試合での姿勢を細かく見て、信賞必罰も徹底している。

「新人の木浪聖也(25)が全力疾走しなかったと途中でベンチに下げたり、エラーした江越大賀(26)や無残に打たれた馬場皐輔(24)を速攻で2軍送りにするなど、1、2軍を頻繁に入れ替えています。笑顔の裏側で厳しい采配があるんです」(球界関係者)

 やみくもに明るさを前面に出すばかりではなく、厳しい面も持ち合わせているのは、チームにとってプラスもある。とはいえ、やはり目立つのははしゃぐ姿だけに、それを快く思わない選手も。

「試合をよく見てもらえばわかりますが、ワイワイ楽しそうなベンチで、心からはしゃいでいない選手もいます。ベテランの福留孝介(42)などはその代表で、冷静に試合に臨んでいますよ。本音ではガッツポーズの多用にシラけているんです。しかし、ミーティングで『みんなでやろう』と強制され、チームの決め事になっているのでしかたなくやりますが、糸井嘉男(37)がイヤイヤながらつきあっている一方、福留はたまにやっていないこともある」(球界関係者)

 ガッツポーズはチームを挙げての義務だったのだ。そうなると、確かにやりすぎの感がある。一部の阪神OBや球界の重鎮からも批判的な意見が出ており、

「アホみたいですわ。アマチュアじゃないんだから、何でもかんでもガッツポーズはないやろ。OBとして恥ずかしい。本当に心から出るガッツポーズならわかるけど、そんなの年に何回かでええこと。問題は、相手がエラーやミスした時にもガッツポーズしとること。いつやるかをわきまえんと、そのうちとんでもない報復を受けるわな」(阪神OB)

 また、選手を叱らない姿勢や、自主性を重んじて早出特打ちなどの練習を行わないチーム方針は、金本知憲前監督(51)がやってきたことの真逆で、そこに疑問を抱く向きもある。金本前監督に近い関係者が言う。

「そもそも金本前監督に呼ばれてユニホームを着て1軍で2年間コーチをしていたのに、その時は何も言わず、監督になって金本野球を完全否定して逆のことをやるんですからね。昨年、2軍監督をして日本一になりましたが、これも本人の希望だったと聞いている。監督になる日を想定して、責任を問われない2軍に避難していたのではないか。みんな大人だから言わないが、金本前監督やクビになったコーチ陣のハラワタは煮えくり返っているでしょう」

「矢野ガッツ」で快進撃を続けている一方で、こうした不満分子がいるのもまた事実。一つ歯車が狂い「ガッツポーズをやっている場合ですか?」という空気に変わったとしても、ポジティブ思考で乗り切れるだろうか─。

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