韓国大激震!文在寅前大統領を「殺人ほう助」などで告訴検討の波紋

 今、韓国国民が大きな関心を寄せているのが、北朝鮮側の海域で射殺された公務員男性をめぐる文在寅前大統領「事実隠ぺい疑惑」事件だ。

 事の起こりは、2020年9月。黄海を航行中、船から行方不明になっていた韓国海洋水産部に務める男性が、北朝鮮側の海域で射殺されていたことが判明。当時、海洋警察は、この男性はギャンブルによる借金などが原因で、自ら北朝鮮への亡命を試みたとの捜査結果を発表。ところが、5月に入り政権が交代。すると海洋警察庁が16日、会見を開き「男性には自主的な越北(北朝鮮に渡ること)を認めるに足る証拠はなかった」として、2年前の捜査結果を覆したのである。

 しかも、同日には国防部も会見を開き、「殺害された公務員が越北を試みたと推定されると発表したことで国民に混乱を与えた。保安関係上すべてを公開できない点に対しても遺憾に思う」と謝罪。

「むろん、背景には尹錫悦政権における再調査があったことは言うまでもありませんが、当時、この事件を捜査した海洋警察は、男性が射殺された2日後には、『自分の意思で北に向かった可能性は排除できない』と発表。さらに3日後には『亡命を企図した状況などを確認した』とし、事件発覚から7日間で『自ら越北したと判断される』という結論を出した。しかもそれを裏付けるかのように、個人情報である男性の多額の債務金額、賭博の記録などを公開。『男性はパニック状態になり、現実逃避目的で北に渡った』と判断されると説明していたんです」(韓国在住のジャーナリスト)

 ところが、男性の賭博による借金を2倍以上水増しして発表していたことや、また、当時海洋警察が諮問した専門家7人のうち、「精神的パニック状態」としたのは1人だけだったことが公表され、海洋警察庁長ら幹部9人が辞任を表明する事態に発展。大統領府としては、経緯を究明するため同庁に対する監査が進行中だとして、辞表は受理しない方針だ。

「捜査結果を改ざん、隠ぺい、男性への責任転嫁など、これがすべて事実なら、許しがたき大問題。しかも、南北融和を優先する当時の文在寅政権が事件の矮小化を図った疑いを指摘する声もあり、仮に発表の背景に青瓦台の意向と圧力が働いたとなれば、文氏は、国民を保護すべき職務を放棄したことになります。男性の遺族側は、文氏と前国家安保室長を告発するとし、文氏については職務放棄または公務執行妨害、さらに殺人ほう助が加わる可能性を示唆しています。身から出た錆とはいえ、大統領経験者が殺人ほう助で逮捕、となれば前代未聞の不祥事。歴史に残る大騒動となることは間違いないでしょうね」(同)

 現在、文政権時代の関連資料は15年間公開出来ない大統領記録物に指定されているが、国会在籍議員3分の2以上の同意、ソウル高裁院長の令状、元大統領側の同意があれば、公開は可能だとされる。さて、韓国国民が注視するこの事件の真相は……。

(灯倫太郎)

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