ウクライナに侵攻したロシア軍が戦車などの軍用車両に掲げるアルファベットの「Z」。当初、その意味は謎に包まれていたが、今年は第2次大戦終結から77周年。実は、数字の7を上下に2つ組み合わせたものであり、同大戦でナチス・ドイツに苦しめられながらも戦勝国となったロシアにとっては勝利祈願のシンボルだと言われている。
だが、そのナチスの党章であるハーケンクロイツ(鍵十字)は今では多くの国でタブーとされており、ロシア軍の象徴であるZマークもヨーロッパ諸国ではすっかり同じような扱いに。ウクライナはもちろんのこと、ドイツでは3月26日にニーダーザクセン、バイエルンの両州が公の場で「Z」の文字を表示することを禁止。車や建物にペイントしたりすると、犯罪行為を是認したとみなされ、最高3年の禁錮刑や罰金が科される可能性があるという。さらにバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)やモルドバでも同様に現在は禁止されている。
それ以外の欧州諸国でも法による規制こそないが、象徴的に「Z」を使うのは事実上のNGだ。しかも、この流れが日本にも影響を与えそうだという。
「世界中からジャパニメーションと評価される日本発のアニメの中には、タイトルにZの文字が入る作品が複数あります。これらの作品も規制対象になってしまうのではないかと懸念されています」(エンタメ誌ライター)
例えば、主なところでは「機動戦士Zガンダム」と「機動戦士ガンダムZZ」のガンダムシリーズをはじめ、「ドラゴンボールZ」や「マジンガーZ」など。いずれも海外で高い人気を誇る作品ばかりだ。
「作品タイトルのロゴが入った映像が使いにくくなる可能性があり、テレビでの放送は難しくなるかもしれませんね。そこまでするかと思われるでしょうが、航空業界ではJALグループの格安航空会社ZIPAIRが、尾翼に描かれたZマークを変更することをすでに発表済み。でも、アニメの場合は今更タイトルを変えるのも難しい。すでにその名前で世界中に定着していますし、そもそも作者が受け入れないはずです」(同)
今後、アニメの作品名にZの文字を加えるのは避けたほうがいいのかもしれない。