テリー 勉強って、どうするんですか。
土屋 今だから言えますけど、誰もいない峠へ行って雪道を毎晩走るんですよ。オーバースピードで入っていって、その後どうすればいいか。ひたすら走って、そういうのを試すんですよね。
テリー それは当然、自分の車で行くんですよね。
土屋 だけど、解体屋から買った車なんで、1台3万円とか5万円なんですよ。
テリー じゃあ、ぶつけても大丈夫なんだ。
土屋 ぶつけても痛くも痒くもないです。
テリー なるほどね。あと、レーサーって昔からモテるじゃないですか。
土屋 モテますね。特にSNSがなかった頃は。今は一発でヤラれますからね。
テリー レース場に行くと、レースクイーンがいるでしょう。ああいう子たちは声かけると来てくれるの?
土屋 ドライバーのレベルによりますね。一流ドライバーだと、もう入れ食いでしょうね。
テリー 入れ食い! いい言葉だなぁ。僕は入れ食いが大好きなんですよ。
土屋 だけど、その子たちって必ずしゃべりますから。
テリー アハハハ。そうなんだよね。だから、リスクをどう覚悟するか。
土屋 そうそう。いまだに女の子たちから「あいつ、誰とでもやるよね」って陰で言われてるヤツがいますからね。
テリー 土屋さんは言われてないの?
土屋 わかんない。言われてるかもしれないね(笑)。
テリー でも、一流のレーサーはお金も持ってるし。そりゃあモテますよね。土屋さんがいちばんいい時はいくら稼いでたんですか?
土屋 1億7、8000万円じゃないですか。
テリー それだけ稼ぐのだって相当大変ですよね。
土屋 大変でしたよ、ほんとに。
テリー プロ野球の選手なんかにはあると思うんですけど、「今日調子悪いな」とか「いつもとちょっと違うな」とか、その日のコンディションって、レースに関係あるんですか。
土屋 それはないです。
テリー えっ、ないの? それは土屋さんだから?
土屋 いや、みんな一流選手はないと思いますよ。野球やサッカーと違って、僕らってマシンのせいにできるんですよ。「今日はエンジンが回ってない」とか「ミッションの入りが悪いと」とか「タイヤが全然合ってない」とか。だから自分のせいには絶対しないんです。
テリー そうか。長嶋(茂雄)さんみたいに、自分に対しては常にポジティブでいられるんだ。いいスポーツだね。
土屋 いいスポーツですよ。
テリー じゃあ、映画はみんなに見てもらうとして。今、何か夢はあるんですか。
土屋 今は鈴木亜久里の「ARTA(エーアールティーエー)」っていうチームで毎年1人、若い子をホンダモータースポーツ部から預かるんですよ。その子たちを教育して、1年かかるのか2年かかるのかわからないですけど、日本のトップドライバーにすることですね。
テリー ちなみに、土屋さんはゲームって得意なの?
土屋 いや、ゲームは下手なんですよ。もう全然ダメ。体にドンドンッて来る感覚とか、タイヤが潰れる感覚がないとダメなんですよ。
テリー とは言っても、普通の人よりうまいんでしょう。
土屋 いや、ほんとに全然下手ですね。でも、ゲーマーは普通にリアルの車に乗れちゃうんだから。ほんと、スゴい時代になったなと思いますね。
〈テリーからひと言〉
土屋さんの原点が夜の街にあったとは知らなかったな。お世話になった恩返しにレースゲームができるサロンを作ってみるなんてのはどう?
土屋圭市(つちや・けいいち)1956年、長野県生まれ。1977年の「富士フレッシュマンレース」でレースデビューを果たし、「グループA」「全日本F3選手権」「全日本ツーリングカー選手権」などで活躍。1994年にNSXに乗り、「ル・マン24時間レース」でクラス優勝を果たす。2003年、レーシングドライバーを引退。現役時代はドリフト走行を多用したことから「ドリキン」(ドリフト・キングの略)と呼ばれた。監修した映画「ALIVEHOON アライブフーン」が6月10日より全国ロードショー。「テリー土屋のくるまの話」(TOKYO MX)にレギュラー出演中。
*「週刊アサヒ芸能」6月9日号より