土屋圭市「野村周平君は運転がめっちゃ上手い」/テリー伊藤対談【2】

テリー あのレースのシーンはどうやって撮ってるんですか。僕もディレクターだけど、どこが実写でどこがCGだったのか、全然わからなかった。

土屋 CGは使ってないです。この映画を作ろうって話になった時に、最初にプロデューサーと話したのが「劇用車はやめましょう。本物の車を使いましょう」「スタントマンやめましょう。本物のドライバーを連れてきますから」と。それで、世界でも名だたる日本のドライバーを全員連れてきて、全員に本番車両を持ってきてもらったんです。

テリー 本番車両って、そのドライバーの?

土屋 そう。そのドライバーがほんとにレースに出てる本人の車で。

テリー あ、そうなんだ。だって撮影中にぶつけることもあるでしょう。それは誰が修理費を出すの?

土屋 だから、予算はどんどん上がっていったと思いますよ(笑)。

テリー そうだよね。カメラも何台使ったんだろう。

土屋 僕、前に「ワイルドスピード×3 TOKYO DRIFT」(2006年公開)って映画で監修をやらせていただいたんです。

テリー 知ってますよ。大ヒット映画じゃないですか。

土屋 その時のハリウッド映画ってデカいカメラで、壊したら500万円ぐらいするんですよね。でも、今はCCDがあるし、ビックカメラで売ってるような「GoPro」もあるから。そういうカメラをいろんなところに置いて、カメラを踏み潰したり、あるいはカメラの上を車が飛んで着地したり。だから、GoProだけでも10台以上は潰してますよね。それでも1台5万円ぐらいだから。「ワイルドスピード」の時代は、それはできなかったんですよ。

テリー じゃあ「ワイルドスピード」に勝てますね。

土屋 画的には絶対勝てると思ってます。そういう意味では、あの作品をやったおかげでこの作品ができたという。

テリー また主人公を演じた野村周平さんもいい演技だったね。彼も実際に運転してるんですか。

土屋 彼、めっちゃうまいんですよ。車が大好きで。陣内孝則さんや土屋アンナさんのシーンになると野村君が2、3時間空くんですよ。

テリー レース場のシーンですね。陣内さんは主人公のドリフトチームの伝説的なレーサーで、アンナちゃんはライバルチームのオーナーだ。

土屋 それで休憩に入ったりすると、日産の「スカイライン32GTR」っていう車で山へ走りに行っちゃいますからね。ほんと野村君も車が好きでよかったなと思いますよ。

テリー これは6月10日から全国ロードショーですよね。ぜひ皆さんに見てほしいね。

土屋 見てほしいですね。ひと昔前までバカにされて、「引きこもり」だとか「暗い」って言われてたような子供たちに夢を与えたいっていうのがこの映画の根底にはあるんですけど、実は福島の復興もあるんですよ。

テリー あ、それでレースを福島でやってたんだ。

土屋 それこそ最初に「福島を忘れちゃいけない」「3.11を忘れちゃいけないよね」っていう話もさせてもらって。それで「福島から発信しよう」っていうことが決まったんですよ。

テリー 練習する波止場のシーンも福島?

土屋 あの波止場も福島です。そういうのが制作側の思いなので。楽しんでいただけたらうれしいですね。

*テリー伊藤対談【3】につづく

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