阪神・藤浪晋太郎投手の一軍昇格が決まった。矢野燿大監督がメディアの前で明言したのだが、その起用法は“中継ぎ”。矢野監督は登板過多にあるリリーフ陣の「ヘルプ要員」として期待しているようだが、むしろ逆効果かもしれない。
「藤浪は4月13日に新型コロナの陽性判定となり、チームを離れていました。以後、二軍で調整を続けてきましたが、4試合に投げて防御率0.64(14イニング)と無双状態でした」(在阪記者)
一軍復帰が遅れた理由は、戦線を離脱していた間、先発ローテーションが完全に固まってしまったため。昨年オフ、契約更改での「完全な自分のエゴで先発をやりたい」発言もあり、構想外となっていた。
「藤浪を使わないのはもったいないとの意見もあり、今回のリリーフ配置換えが決まりました」(同)
岩崎優は19試合に登板しているが、他球団のクローザーと比べ、突出して多いというわけではない。また、ブルペン・メンバーを見渡してみれば、岩貞、加治屋、石井、渡邉もいて、「7回アルカンタラ、8回湯浅、9回岩崎」の“勝利の方程式”を疲弊させないだけの仕事は十分に果たしている。
青柳、西勇、西純、ウィルカーソンなどの先発投手たちも長いイニングを任せられる。リリーバー・藤浪の出番はあまりなさそうである。
福原忍投手コーチの語った「藤浪起用法」が意味シンだ。
「すぐにそういう場面で投げられるかと考えたら難しいところもある。まずはラクな場面から」
試合後半でラクな場面と言ったら、ワンサイドゲームしかない。
先発投手を含めた全一軍投手を休ませるために、藤浪は奮闘することになりそうだ。
「そこで結果を積み上げ、僅差の場面や勝ちゲームで使ってもらうようになるしかありません」(球界関係者)
2年連続で開幕投手を務めたが、首脳陣の信頼は得ていないということか。そんな自身の厳しい評価を知り、自信を喪失しなければいいのだが…。
(スポーツライター・飯山満)