米ドラフトに異変「31球団目の日本」という選択肢が急浮上!

 カーター・スチュワート投手のソフトバンク入りは、日本の外国人選手の獲得ルートも変更させてしまいそうだ。
 
 スチュワート投手は、昨年のメジャーリーグ・ドラフト会議でアトランタ・ブレーブスから1巡目指名(全体の8番目)を受けたが、その後、右手首の故障が見つかり、球団が提示した契約金と希望額の開きが埋まらなかったため、“ドラフト浪人”となっていた。

 そして、メジャー関係者もビックリの日本行きとなったわけだが、その仕掛け人は、松坂大輔がレッドソックス入りしたときに60億円強の大型契約を勝ち取った代理人、スコット・ボラス氏である。
 
「王貞治球団会長も『立派な体格をしている』と日本デビューを楽しみにしている口ぶりでした。契約直前まで短大で投げていたわけだし、実戦デビューはそんなに遠い話ではないと思います」(スポーツ紙記者)

 登録名は「スチュワート・ジュニア」。そんな彼のNPB入りがアメリカのドラフトを変えるかもしれないというのだ。

 そもそも、スチュワートとボラス氏がブレーブスと合意できなかった理由はカネの問題に尽きる。翌年も指名対象となる短大で好投していたとはいえ、19年ドラフト時にはさらに買いたたかれる可能性もあった。
 
「ドラフト候補に代理人が付くのも米球界の特徴です。ボラス氏は過去に担当したドラフト候補をいったん米独立リーグ入りさせ、『独立リーガーもプロだ。指名リストから外せ』と迫り、自由競争による破格の契約金を勝ち取ったこともありました」(在米記者)

 メジャー球団も独立リーグを経由する手段に対抗する措置を講じている。しかしボラス氏は今回、この方法をもう一度用いて、経由先を日本プロ野球チームに変えたのだ。

 スチュワート・ジュニアとソフトバンクの契約は6年総額700万ドル(約7億7000万円)。日本で活躍すれば、7年後は超破格の条件でメジャーリーグに移籍できるはずだ。

「日本なら、米独立リーグとは比較にならない契約金、年俸が確保できます。何よりも、日本の野球環境はマイナーリーグよりも優れています。コーチの指導内容もきめ細やかで、その点では日本のほうが上。実は数年前から、米ドラフトの入団交渉で揉めている選手の代理人が何度も日本に売り込みをしていたんです」(同前)

 育成と活躍に6年を費やし、入札制度で米球界へ。ソフトバンクにも損のない”新外国人選手の獲得ルート”となる。だが、メジャーリーグ側も日本に「これ以上はやめてくれ」と言ってくるだろう。心配なのは、米球界側の報復だ。160キロ強右腕、大船渡高校の佐々木朗希ら日本のドラフト候補生たちが標的にされなければいいのだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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