高校生投手とルール違反面談「なぜ、阪神の謝罪が遅れたのか」

 日本高校野球連盟が天理高校の野球部監督、部長を厳重注意した。ドラフト上位指名候補の同校・達孝太投手がプロ志望届を提出する前に阪神スカウトと面談していたことが発覚し、それに対する処分が下されたのだ。

「達投手は9月10日にプロ志望届を提出していますが、阪神サイドと面談したのは7日。志望届の提出予定であれば、面談可能と誤解し、規定に違反した形になってしまいました」(アマチュア野球担当記者)

 達投手といえば、今春のセンバツ大会で好投し、プロ野球各球団のスカウトもその将来性に太鼓判を押していた。

 高野連、学校は猛省していたが、ここで一つ疑問が…。一方のルール違反者である阪神が謝罪コメントを出したのは、1日遅れとなった9月16日の午後。高野連の処分内容の発表と同じ15日に「志望届が提出されたものと勘違いしていた。申し訳ない」と頭を下げていれば、学校側も救われていたはずだ。

「日本学生野球憲章に違反したので、プロ野球は対象外ということなんでしょう。当然、プロ野球側もお目当てのアマチュア選手や学校がその憲章に違反しないよう、内容は把握しています。阪神は事実確認をしていたため、16日になったそうです」(球界関係者)

 そもそも、志望届の提出前にプロ野球関係者との接触を禁じた理由は、プロ野球側にある。古くは有望なアマチュア選手の引き抜き、金銭問題などがあったからで、2004年の‶一場事件”の発覚後はどの球団も襟を正し、再発防止に努めてきた。

 阪神は遅ればせながら、今回の“フライング会談”を謝罪したが、他のプロ野球球団はどこか他人事だ。そんなプロ野球側の対応のせいで、「みんなウラでやっているよ。たまたまバレただけ」なんて憶測も流れたら、プロ・アマ双方で再構築した現在のドラフト会議のクリーンさも失われてしまうのではないだろうか。

「達投手について、『岩隈久志みたいになる』『斎藤和巳の若いころが、こんな感じだったのかな』『藤浪晋太郎クラス』など、プロ野球スカウトたちは具体的な好投手名を挙げて将来性を絶賛していました。メジャーリーグへの憧れも強く、プロに進んでからも成長してくれそう」

 多くの学生野球関係者が応援していた。

 今秋のドラフト会議で阪神が達投手を指名したとき、ヘンな誤解をされなければいいのだが…。

(スポーツライター・飯山満)

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