トラの黄金ルーキーが守るのは内野か、外野か。そしてどのナンバーを背負うのか。球団は厳しい難題を突きつけられそうだ。
阪神・矢野燿大監督が今年のドラフトナンバー1スラッガー、佐藤輝明内野手(近大)を引き当てた。4球団以上の競合の末に交渉権を獲得したのは、2012年の藤浪晋太郎以来、9年ぶり。野手では、79年の岡田彰布(早大/6球団競合)以来となる。佐藤の獲得は“歴史的大勝利”であり、チーム内外から「1年目からスタメンで!」の期待の声も大きく聞かれた。
そうなれば、問題はどこを守らせるかだ。矢野監督は「ウチではまるなら、外野」とドラフト会場で話していたが、決定ではない。「内野手」としてスタートを切らせるべきとの意見もあるそうだ。
「大山の三塁守備にも難があるので、むしろ、大山を外野にし、佐藤を三塁にすべきです。チーム全体で失策も多く、この課題は何年も解消されていません。スタメンを総入れ換えするくらいでなければ、守備難は解消されないでしょう」(プロ野球解説者)
佐藤は主に三塁を守ってきた。外野を守らせるのであれば、「佐藤よりも大山」の意見も多いそうだ。右投左打の三塁手が定着すれば、掛布雅之氏が思い出される。もっとも、「30メートル走6秒0の俊足を活かしてほしい」と、矢野監督の“外野手プラン”を支持する声もあるが、それ以上に阪神首脳陣とフロントを悩ませているのが、背番号だ。
「クリーンアップを託すスター候補」に相応しい番号を提示する予定だが、現時点の若い空き番号は「1」、「6」。福留、能見らの退団問題はまだ完全に決着していないが、「8」も候補に挙がってきそうだ。
「背番号8をつけ、佐藤に外野を守らせるのは、ファンも抵抗があると思います。マルテの31番を譲ってもらうのも悪くない」(前出・プロ野球解説者)
鳥谷敬のつけていた背番号1も、ファンの好感を得られない可能性がある。
阪神の永久欠番は「10」(藤村富美男)、「11」(村山実)、「23」(吉田義男)とされている。「1」と「6」は準永久欠番の扱いで、新たなスターが現れるまでは封印することに決めていた。その準永久欠番を継ぐ資質は十分にある。鳥谷、そして、「6」をつけていた金本知憲氏も右投左打だった。最終的に決断するのは佐藤だが、現在、チームにいる選手の背番号を動かすのは良策ではない。準永久欠番の封印が解かれることになりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)