日本版カジノは大阪と長崎で決まり!? 二階氏とHIS澤田氏との明暗際立つ

 賛否を巡る議論と政治の動きがあって紆余曲折、そうこうするうちにコロナ感染拡大し先送りになっていた「日本版カジノ」の候補地選定も最終段階にあるようだ。

「日本のIR誘致は、各都道府県が国に設置の申請を行い、それを受けて国が認定を行う手順になっています。その申請の期限が4月28日。イチ早く誘致でまとまっていた大阪府以外の候補地では、和歌山県と長崎県が4月20日の県議会本会議でカジノ誘致の賛否を問う採決を行い、結果、和歌山県は反対多数で否決、長崎県は賛成が上回りました。これで日本の候補地は大阪と長崎に絞り込まれたことになります。あとは国が提出された計画を認可するか否かの問題です」(全国紙記者)

 和歌山県と長崎県で明暗が分かれた形だが、これで候補地争いに終止符が打たれたという意味ではスッキリしたとも言える。それと同時に際立つのが、共に地元でカジノ推進派の“顔”だった二階俊博・前自民党幹事長と子会社のハウステンボスを運営する澤田秀雄・HIS会長との明暗だ。

「和歌山ではクレアベスト・グループ(カナダ)とサンシティ・グループ(マカオ)の2社がカジノ運営会社として手を上げていましたが、サンシティはオーストラリアでの資金洗浄(マネロン)問題への関与が疑われ、3月5日という直前になって撤退を表明しました。二階氏はサンシティを推していたとされ、これを機にカジノへの関心を失ったと言われています。また和歌山県では年末に任期を終える県知事の次の候補者選びで内部が分裂、二階氏は83歳の高齢なので後継を巡って権力争いがあるとされ、それで県議会をまとめられなかったとの見方もあります」(経済ジャーナリスト)

 一方、長崎県のカジノでは、ハウステンボスの敷地を利用するという計画とあって、澤田氏としては「しめたもの」といったところか。このところのHISと言えば、コロナ禍が旅行業界を直撃。苦境にある中で、さらには子会社でGoToトラベルでの不正が発覚と、まさにボロボロの状態だ。昨年末の連結決算では500億円の最終赤字を出し、今年2月には社長兼会長だった澤田氏は、会長のみに退いたところだ。

「コロナ前のハウステンボスは毎年いつ上場するのかと、大型の新規上場を期待されていました。カジノ誘致が実現すれば、コロナ後の観光業復活にあわせHISの大きな救世主になり得ますし、その勢いも手伝ってついに上場ともなれば、HISと澤田氏に巨万の富がもたらされることになります。夢は膨らむばかりでしょう」(同)

 ただ、長崎県の計画には問題点を指摘する声もあって、そこが今後は問われるだろう。とはいえ、国も鳴り物入りでカジノを実現したいところ。なので、国の指導も入りつつ実現には漕ぎつけるだろう。一応は日本のカジノ選定でも解決を見たか。

(猫間滋)

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