iPhoneの廉価版モデル「iPhone SE」の第3世代が、予想を上回る需要の減少によってAppleが生産台数を大幅に減産することを決めたと、海外メディアがこぞって報じている。同モデルの第2世代は日本でも圧倒的なシェアを誇る人気機種だったのに第3世代が売れなかった理由とはいったい?
昨年12月にMMD研究所が発表した調査データによれば、スマートフォンを所有する18歳~69歳の男女約3万6000人のうち45.7%がiPhoneを利用しているという。さらにiPhoneユーザーに現在メインで利用している端末を聞いたところ、iPhone SEの第2世代が17.8%と利用率No.1であることが明らかになっている。
そんな人気シリーズのiPhone SEだが、最新版の第3世代は売上が伸びておらず、4月20日現在の「BCNスマートフォン週間売れ筋ランキング」でも先に発売された「iPhone 12」や「iPhone 13」に抑えられて5位という順位に甘んじているのだ。
「SEの第3世代が売れなかった理由は3つあります。1つは、SEシリーズを買うユーザーは基本的に買い替えをしないためです。この機種はiPhoneの廉価版モデルで入門編という位置づけにあり、iPhoneの基本的な機能が使えればいいというユーザーも多い。そのためiPhoneのナンバリング機種を使っている人のように最新機種が出たら新しい機能を求めて買い換えることもなく、第2世代から第3世代に移行する人も少なかったのです」(ITジャーナリスト)
理由の2つ目は、第3世代は第2世代より約8000円も値上がりしているためだという(64GBの場合)。第3世代はiPhone 13と同じCPU「A15 Bionic」を搭載し、通信規格『5G』にも対応しているので値上げは仕方ないが、前述の通りSEシリーズのユーザーはiPhoneの基本的な機能が使えればいいため、A15 Bionicや5Gを搭載するよりも値段が安い方がいいと思っている人が多いとか。
「そして最後の理由は、安さを求める人は一括1円などの投げ売り状態のiPhoneを買ったためです。今年に入ってから、購入には様々な条件があるものの、iPhoneを1円で投げ売りするところが急増しました。昨年9月に発売されたばかりのiPhone 13シリーズも1円で購入できたことから、機能の劣るSE第3世代よりも1円iPhoneを購入した人も多かったようです」(前出・ITジャーナリスト)
今後も第2世代から第3世代への移行はスムーズにはいかなそうだ。
(小林洋三)