4月12日に東京商工リサーチが発表した「焼肉店倒産状況」によると、2021年度の焼肉店の倒産は18件で、過去最小を記録した20年度の12件から1.5倍に増えていることが明らかとなった。コロナ禍の勝ち組と言われた焼肉店に一体何があったのだろうか?
「焼肉店は無煙ロースターなどの排煙装置による換気がコロナ禍に注目され、郊外に出店する店舗も多かったためファミリーでの利用者が急増しました。また『焼肉ライク』など、お一人様需要も取り込み、コロナの影響で大きく客足が離れた飲食業界の中でも非常に好調な売上を記録していたのです」(経済ライター)
その影響もあって、倒産した飲食店の空き店舗に食べ放題の焼肉店が出店するケースがよく見られるようになり、居酒屋大手のワタミが焼肉店を出店するなど新規参入組もあらわれた。20年10月に1号店が誕生したばかりの「焼肉の和民」はすでに全国に26店舗を展開しており、一気に焼肉店の数が急増したのだった。
「焼肉店の倒産が増えた原因のひとつは間違いなく店舗急増による競争激化でしょう。最近の飲食業界はこれが儲かるとなると、みんな飛びつくように出店する傾向にあり、タピオカミルクティーやパンケーキ、唐揚げ専門店もそうですが、店舗が増えすぎて客の取り合いになり、どんどん淘汰されていってブーム自体が終焉してしまうことが、ままありますからね。また、輸入牛肉は世界的な需要の増加によって大幅な値上がりをしていて、耐えきれず値上げをする焼肉店も増えてきました。焼肉の和民は逆に値下げを発表して、他との差別化を図ろうと努力していますが、それもいつまで続くことか…」(経営コンサルタント)
今後はさらに焼肉店の倒産が増えていくのかもしれない。
(小林洋三)