現在、ウクライナではロシア支配圏との東西分断が懸念されているが、それに先立って街が東西2つに分裂したのが中国・上海。といってもこれは当局のコロナ対策によるもの。
上海では3月に入って感染が拡大。28日には過去最多となる4477人の新規感染者を出している。そこで約2600万人が暮らす巨大都市を東西2つに分け、東側を28日午前5時から、西側は4月1日午前3時から96時間ずつロックダウンすることを発表。封鎖中は地下鉄やバスなど市内交通機関が運休となり、医療従事者や宅配業者といった一部を除いて住民は外出禁止となっている。さらに全住民にPCR検査を義務付ける徹底ぶりだ。
「中国は以前に比べれば若干緩くなってきたとはいえ、今もゼロコロナ対策を取っています。今年に入ってから主要都市は感染者が増えていましたが、北京冬季五輪・パラリンピックがあったので大規模な規制ができなかった。しかし、開催期間が終わって障害がなくなったため、ロックダウンに踏み切ったのでしょう」(中国事情に詳しいジャーナリスト)
だが、今回の封鎖は地元住民たちに大きな混乱を招いているという。上海在住の40代の日本人駐在員は次のように語る。
「前々から通達されていたわけではなく、27日の夜になって突然発表されたんです。年度末・年度初めの仕事の忙しい時期だったのに業務は滞り、市内の流通網もストップしたので工場への資材の搬入もできません。また、食料に十分な蓄えがなかったので妻が慌てて買い物に行きましたが、近くのスーパーは大混雑で生鮮食料品やインスタント食品、冷凍食品がほとんど品切れ。私も帰りに何軒かのコンビニに寄りましたが、どこも食料品は一部しか残っていませんでした」
街を2つに分けてロックダウンしたのは混乱を避ける意図があったと思われるが、あまりに急ぎ過ぎたせいか当局が期待したほどの効果は得られなかったようだ。