配給品受け取り袋にヴィトン!ロックダウンの上海で“金持ち自慢”の度し難さ

 中国の頑なまでのゼロコロナ政策で、コロナ感染がなかなか収束しない上海で大混乱が生じていることは広く報道されている通り。3月28日から続く自宅軟禁の隔離政策はもう1カ月も続いており、中にはうつ病を発症したり、他の病気で医療機関から受診を断られたことを悲観して自死したニュースも伝えられている。一説には、このままでは自死者が感染死者数を上回るのではないかと言われるほどだ。

 いかに上海市民が疲弊しきっているのかが分かるが、その一方で、つつましやかな自粛生活とはかけ離れて、厄難の中にあっても「金持ち自慢」をしたがる人が多数いるのだとか。

「ロックダウンで自宅での蟄居を強いられた市民は外にも出られないので、食料や生活必需品、マスクなどの衛生用品は政府の配給を受けています。その際、それらを受け取るために自宅玄関に配給物資を入れてもらうための袋をブラ下げておくのですが、富裕層の中にはヴィトンやグッチといった高級ブランドの買い物袋をこれ見よがしに使っている人がいて、高級バッグそのものを下げている人までいるんです」(経済ジャーナリスト)

 さすがに呆れた光景と、そんな様子がウェイボーで拡散されているのだという。

 ここまで来るともはや度し難いという他ないが、中国人の「金持ち自慢」が問題視されたのは何も今に始まった話ではなく、しかも政府からもニラまれているのが実情だ。

「習近平主席は『共同富裕』を国の方針として掲げているので、昨年12月から、これに反する富の不平等に結びつくイメージを社会から排除する統制に乗り出しました。例えば中国では金満ぶりを示すことを『炫富』(シエンフー)と言いますが、中国国内版TikTokの『抖音』(ドウイン)では、こうした投稿が規約違反として付け加えられました。同じようなものとして、爆食い動画の『吃播』(モッパン)も禁止されています。昨年、『生配信の女王』と呼ばれたインフルエンサーが脱税で13億4000万元(約240億円)もの罰金を科されるということがありましたが、それもこの方策の見せしめのためです」(同)

 拡散された画像を見て多くの中国人は憤慨しているという。あまりやり過ぎたら、今度は政府も動くかもしれない。

(猫間滋)

ライフ