中国の「くら寿司」1号店が大盛況も、撤退企業が相次ぐ「チャイナリスク」とは

 回転すし大手「くら寿司」は15日、中国大陸初出店となる「上海龍之夢中山公園店」を上海市内の大型ショッピングセンター内にオープンさせた。今年9月までに上海にもう2店舗、今後10年で中国大陸で100店舗を目指し出店を加速させる方針だというが、チャイナリスクを心配する声も少なくない。

「上海1号店は基本的に日本の店舗と同じ作りになっていて、回転レーンやタッチパネルでの注文、皿5枚でくじが楽しめる『ビッくらポン!』も採用されています。違う部分といえば、1皿の価格が12元(約240円)に設定されており、日本に比べると倍以上の価格になっていることでしょうか。ただ、この値付けは上海の人からすると非常にお手頃といえます。中国で大人気のサーモンメニューを豊富に取り揃え、『サーモンのたたき』といった限定商品も用意されていて、早くも連日行列の大盛況となっています」(中国事情に詳しいライター)

 くら寿司ではこれまで2009年にアメリカ、14年に台湾へ出店。中国大陸へは20年に出店を予定していたが、新型コロナウイルスのパンデミックによって延期されていた。ここ数年中国では日本食ブームが到来していて、特に寿司人気が高い。くら寿司は9日に発表した23年10月期第2四半期決算では、3年ぶりの最終赤字に沈むなど国内事業が不振にあえいでいることから、中国への出店を急ぎたいところだろう。

「ただ、注意しなければならないのがチャイナリスクです。帝国データバンクの調査によると、20年から22年6月までの時点で中国に進出する日本企業のうち940社が撤退していたことが明らかになっています。これは、ゼロコロナ政策によるロックダウンの影響も大きいですが、今後もコロナ以外のチャイナリスクがいつ発生するか分かりません。また、くら寿司のライバルである『スシロー』は既に中国に出店していますが、先日、現地SNS『ウィーチャット』内の予約アプリが突然使えなくなったと報じられました。これは中国当局による嫌がらせという噂もあります。中国に出店するということは、日本では考えられないような障害や様々なリスクがあるということを改めて認識しておいた方がいいかもしれません」(同)

 中国大陸での店舗の展開は慎重に進めるべきだろう。

(小林洋三)

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