野村IDか? パ5球団に広がる「新庄監督の奇襲に要注意」の声

 奇策か、それとも名将の作戦を継承したのか? 3月5日の巨人戦で披露した新庄剛志監督(50)の「セオリー無視の走塁作戦」が、話題になっている。

 1点リードで迎えた8回、新庄監督は一死二、三塁の場面で、エンドランの奇襲を仕掛けたのだ。通常、三塁に走者を置いた場面でエンドランのサインは出さない。エンドランのサインを出されたら、空振りは許されない。新人の水野達稀は“奇想天外なサイン”にも顔色一つ変えず、適時打を放った。

 試合後、その水野は「中学でやったかも?」と三塁走者を置いてのエンドランについて感想を述べていた。

 ボールが高く弾む軟式では“変則のスクイズ”として、三塁走者を置いてのエンドランのサインが出されることがある。新庄監督はニンマリだったが、こんな指摘も聞かれた。
 
「野村克也氏が三塁走者を走らせ、『ゴロを打て』のサインを出したこともありました。本塁突入のアウト、セーフがタッチプレーで決まるケースで使われていました」(球界関係者)

 また、1点を争う試合終盤、「ギャンブルスタート」と言って、打球の行方を見ずに一か八かで三塁走者が本塁突入する走塁も2000年代に流行した。

 水野にエンドランのサインが出されたとき、走者は二、三塁。一塁ベースが空いていたため、巨人の内野陣は「内野ゴロが来たら、一塁送球」と想定し、定位置で守っていた。

 野村氏がヤクルト、楽天で三塁走者にエンドランのサインを出したのは、やはり内野手が定位置で守っていたときだった。

 新庄監督は野村監督の作戦を模倣したのか、それとも軟式野球を持ち込んだのか、真相は分からない。しかし、ネット裏のパ5球団のスコアラーの目には焼き付いた。「何を仕掛けてくるのか分からない監督」、ライバルチームは警戒心を強めている。

(スポーツライター・飯山満)

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