北海道日本ハムファイターズの「ビッグボス」こと新庄剛志監督が先月27日、日本テレビ系の情報番組「シューイチ」に出演。MCの中山秀征との対談の際に放った一言が、スポーツメディア関係者の間に波紋を広げている。
スポーツ紙記者が語る。
「番組ではキャンプ中でのユニークなエピソードなどが紹介されたのですが、新庄監督は今季の目標として、9月頃に『俺たち強くね?優勝狙えるんじゃね?というムード』になるなか、『そこで、2位でいいよ、と。来年新球場できるんだよ? 取っておかないと、という気持ちの余裕さで遊びたい』などと独特のセンスで抱負を語りました。そして最後に、中山が『最後になりますけど、一言みなさんによろしいですかね』と質問したところ、新庄監督の表情が一変。『それやめましょうって。選手に対して、テレビ局側の人が「ファンの方に最後ひとこと」っていうのは面白くないでしょ?いらないですって』と真顔で答えたのです。予想外の答えに中山は『もうそういう時代じゃないってことですね?』と慌ててフォローするも、『そういう(最後に一言という質問が出ない)時代にしたい。全国、やめてほしい』と付け加える一幕もあり、彼の決意のようなものが伺えました」
放送終了後、SNS上では侃々諤々の意見が飛び交った。《新庄監督の言う通りだ。「最後にひとこと」と言われると、「頑張ります」「応援宜しくお願いします」が決まり文句になる。ほんと無駄でしかない》《インタビュアーはもっと勉強すべき》《マスコミもプロなら、その選手から、その場でしか出ないような質問をきっちり用意してほしい》といった賛同の声があれば、《ファンとの締めの挨拶的要素を含んでいるので、否定も肯定も出来ない》《ちゃんとそこに意味があったり、意図がある最後に一言ならいいんじゃない?》《「最後に一言」の何が問題なの?》と賛否が分かれた。
かつて、サッカーW杯元日本代表の中田英寿氏も、「次の試合の抱負は?」「最後に一言」という丸投げ質問に異議を唱え、バッシングを受けたことがあった。
「中田氏がイタリア・セリエAへと渡った21歳の頃は、まだSNSなどない時代。そのため、情報を発信する術がなく、結果、自らの肉声をファンに伝えるには、マスコミの力を借りなければなりませんでした。ところが、その後SNSが登場したことで、彼は『nakata.net』というホームページを立ち上げ、自らの言葉でメッセージを発信するようになった。それが最大で1日2000万以上ものPVを記録、批判的だった記者たちも『nakata.net』の後追いをするようになりました。新庄監督のマスコミ対応は中田の場合と全く違いますが、旧態依然の慣例を正論で拒否するという姿勢には共通するところがあるのかもしれません」(同)
ビッグボスフィーバーが、スポーツメディアの在り方にも一石を投じたようだ。
(灯倫太郎)