はたして中国政府が称賛するような「愛される中国の縮図」なのか、はたまた「イメージアップのためのやらせ」なのか——。北京五輪開催中には全国の公式ストアで連日大行列ができるなど、大人気だった五輪マスコットキャラクター「ビンドゥンドゥン」。閉幕後も品薄により転売価格が暴騰、次々に偽物が出回るなど、その人気はいまだ衰えを知らない。
ただし、五輪が始まる前までは中国国内でも関心は薄く、「ビンドゥンドゥン」の認知度はさほど高いとは言えなかった。
「それを大々的に紹介したのが日本のテレビ局で、その動画がSNS上に拡散されたことで、『かわいい』『愛らしい』と中国国内で評判を呼び、グッズ目当てのファンが公式ストアに殺到することになりました。つまり、ビンドゥンドゥン人気に火をつけたのは日本だったというわけです。一番人気のぬいぐるみやバッジ、マグネットなどは連日売り切れの状態が続き、ネットショップでは現在も入荷待ちの状態。組織委員会はこの人気を逃すまいと増産を指示、6月まで製造するとしています」(スポーツ紙記者)
さらに、19日には「ビンドゥンドゥン」と、パラリンピックのマスコット「シュエロンロン」が主演のアニメ映画『僕たちの冬季五輪大会』が中国国内で公開され、公開からわずか5日間で延べ100万人が観賞したと伝えている。
「昨年、習近平国家主席が中国共産党幹部を集め、『信頼され、愛され、尊敬される中国を目指せ』と指示したことは有名な話ですが、結果的にビンドゥンドゥンがその象徴となりました。中国メディアでは『ダイナミックな中国のイメージを示す大使で、中国のソフトパワーを高めた』(人民日報)、『愛される中国の縮図。世界が自信を持った中国に気づき始めた』(国営新華社通信)とビンドゥンドゥンを大絶賛する声が相次いでいます」(同)
とはいえ今回の北京五輪は、人権問題をめぐる開幕直前の外交的ボイコットなど波乱の幕開けで始まり、ユニホームの規定違反や疑惑の判定に続き、ドーピング問題も発覚。ネガティブな話題が多かったことは事実だ。中国としても、そういったマイナスイメージを払拭したい。そんな中で発生したビンドゥンドゥン人気はまさに渡りに船というわけだ。
「実際、豪州の複数メディアが、中国がSNSの偽アカウントを多数利用することで、人気を盛り上げる演出が行われた可能性を指摘しています。開幕前には問題が山積していましたから、あの手この手でイメージアップを図ろうと考えても不思議はないでしょう」(同)
日本テレビの辻岡義堂アナをはじめ、ビンドゥンドゥン愛を公言するテレビ関係者も多いが、はたして彼らの心中は……。
(灯倫太郎)